第一章
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ジュエル
秋山菫は佐藤亮二の彼女である、性格は極めて明るい。
童顔で小柄、黒の長い髪をツインテールにしていて高校を卒業してもまだその時の名残を残している。動きも大袈裟なまでに大きい。
亮二は細長い白い顔に黒髪を鬣の様にしている。細い眉はまさに一直線に斜め上にある。黒い瞳の光は強く目つきも鋭い、一重だ。
鼻は大きく厚い唇を持っている、その彼はよく菫に言っていた。
「御前今度のプレゼント何がいい?」
「何でもいいよ」
これがいつもの菫の返事だった。
「亮二君の好きなものでね」
「御前そういうものはこだわらないんだな」
「だってね、私必要なものがあればね」
それで、というのだ。
「満足する性格だから」
「あれが欲しいこれが欲しいとかないな」
「巨人じゃないからね」
憎むべき人類普遍の敵であるあの自称球界の盟主その実は球界の北朝鮮とも言うべき忌まわしい存在である。
「にこ横浜ファンだし
「横浜なあ」
「ないものばかりよね」
「ああ、特にピッチャーと守備な」
その二つが特にない。
「ないな」
「そうでしょ、けれど私はお仕事もあるしね」
「調理師だからな」
イタリアンレストランのだ、尚亮二はハンバーガーショップの店長だ。店では明るく面倒見がよく接客も見事ないい店長だ。売上もいい。
「それで金もあってか」
「お家もあってね」
二人で一緒の部屋に住んでいる。
「着るものもあって」
「そうしたものが全部あるからか」
「満足してるから」
それで、というのだ。
「他にはね」
「これといっていらないっていうんだな」
「うん、だからね」
「俺のプレゼントもか」
「気持ちが凄く嬉しいの」
亮二のプレゼントの中に込めたそれが、というのだ。」
「だから何でもね」
「そう言われるとな」
どうかとだ、亮二が言うことは。
「俺としてはな」
「困るの?」
「確かに俺達は生きる分には困ってないよ」
仕事があって金があるからだ。
「とりあえずはな」
「そうでしょ、携帯もあるしね」
「テレビもあるけれどな」
「テレビは基本ゲーム用だけれどな」
「まあそれもあってな」
「他にも生活用品全部あるから」
それこそ何もかもがだ。
「お風呂だってあるし、お部屋に」
「困ってないんだな」
「全然ね。あとは横浜が強くなるだけよ」
「それはどうしようもないな」
少なくとも亮二にはだ。
「野球の神様にお願いしてくれ」
「そうでしょ、それだけが望みだけれど」
横浜が強くなることが、というのだ。
「他はね」
「ないか」
「そう、ないから」
「横浜の選手のサインとかか?」
ふとこんなことも言った亮二だった。
「それならな」
「あ
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