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ダブルベッド
第五章
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第五章

「結婚ね」
「学校出て社会人になったんだし」
「えっ!?」
「何で!?」
 二人はそれぞれの家で言われて声をあげた。奇しくも親に言われたのは全く同時であった。それぞれの家の中ではあったが。
「結婚って」
「それも私達って」
「だから。わかってるんだよ」
「あんた達付き合ってるんでしょ?」
 今ここにその相手がいなくとも両親に言われた二人だった。
「もう結構長く」
「それも深い仲なんでしょ?」
「別にそれは」
「ないけど」
 二人はこれまた同時に同じ仕草をした。目を伏せて両親から顔を背ける。翼は左に、霞は右に。家が違っても対称になってしまっていた。
「そんなの。僕達は」
「してないわよ、別に」
「あのな、親だぞ」
「わからないと思ってるの?」
 しかしどちらも親の方が一枚上手であった。
「ばれてるんだよ」
「完璧にね」
 駄目出しまで出て来た。
「もうな」
「だから早く結婚しちゃいなさい」
「店に入ったばかりなのに?」
「それでも?」
 もう隠せないとわかった二人は今度は仕事を理由に逃げようとした。しかしこれもまた空しい抵抗であり逃げることもできはしなかった。
「何言ってるのよ。社会人になったらすぐに身を固めないと」
「その通りだ。余計に結婚しろ」
 それぞれの両親にこういわれる始末だった。翼は洋室でテーブルを挟んで、霞は和室で台を挟んでだったがそれぞれ並んで座って前にいる両親に言われていた。
「そうよ。何ならお店も一つにする勢いでね」
「結婚しろ」
「そう。お店を一つにする勢いで」
「やれってことね」
「そういうことだ。わかったな」
「式の段取りはこちらでしとくからね」
 話はとんとん拍子で進み気付けば一緒になっていた二人だった。部屋はこちらの方が広いということで翼の部屋に住むことになった。もう二人の為のダブルベッドまであった。
「ベッドも新しく買ったの、おじさんとおばさん」
「みたいだね」
 二人で部屋の中のそのベッドを見て話すのだった。
「どうやらね」
「用意がいいのね」
「いいなんてもんじゃないよ」
 翼は呆れたものと苦笑いを混じらせた顔になっていた。
「今部屋に入ったらあったんだから」
「やっぱりこれってあれよね」
 霞は何故ダブルベッドなのかよくわかった。見ただけで。
「私達が一緒に寝る為によね」
「夫婦だからね、もう」
「そうよね。だからよね」
 ダブルベッドが何の為にダブルなのか、枕が二つあるのか。答えはもう出ていた。
「やっぱり」
「そうだね。今度はダブルベッドか」
 翼はここでまた言った。
「子供の頃は二人横に並んでもとても広かったけれど」
「あの時はもう狭くなってて」
 あの時のことも話すのだった。
「それで
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