第三章
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第三章
「少なくとも女の子一人って何かと危ないからね」
「そういうこと。それによ」
「それに?」
「これって翼君にとってもいいことじゃない」
今度はこんなことを言ってきたのだった。
「違うかしら」
「僕にとってって?」
「まず。女の子とデートができる」
顔を正面に向けてこれだといわんばかりの顔で述べた。
「こんな可愛い娘とね」
「自分で可愛いって言ったら駄目じゃないかな」
「いいのよ。これも御愛嬌」
そういうことにしてしまう霞だった。
「用心棒っていう名目でね」
「それじゃあずっとじゃないの?」
翼は霞の今の言葉に首を捻るのだった。
「ずっと。子供の頃から」
「じゃあ余計に果報者じゃない。ずっと女の子と一緒なんだから」
「そういうものかな」
「そういうものよ。それによ」
霞の言葉はさらに続くのだった。完全に彼女のペースで進んでいる。
「こうやってボディーガードしてくれたらよ」
「何かいいことがあるっていうの?」
「そうよ。うちのお父さんとお母さんが褒めてくれてるのよ」
「おじさんとおばさんが?」
「どう?いいことでしょ」
口元と目元を頬笑まさせて翼に顔を向けてきた。
「これって」
「おじさんとおばさんのことはよく知ってるけれど」
伊達に子供の頃から一緒ではない。霞の家でも何度も泊まっているし彼女の両親とも付き合いが深い。それこそ第二の両親のようなものだ。
「今更いい印象持ってもらっても」
「何言ってるのよ、幾らよく知ってもらっててもよく思われるにこしたことないでしょ?」
「まあそうだけれどね」
一応霞の言葉に頷きはする。
「それ自体はね」
「わかってるじゃない。とにかく翼君にも悪いことはないわよ」
「うん」
とりあえずはという感じでの頷きだった。
「そうだね。じゃあ一緒に」
「これからも御願いね」
こんなことも言う霞だった。
「これからも。いいわね」
「わかったよ。これからもね」
そんな話をする二人だった。それからも毎日二人で学校を行き来した。そんなある日の帰り道のこと霞は不意に翼に対して言ってきた。
「あのね、翼君」
「どうしたの?」
「今日ね、ちょっと御願いがあるのよ」
「御願いって?」
「お部屋の模様替えしたいの」
こんなことを言い出してきたのだった。帰り道で。
「お部屋のね。いいかしら」
「お部屋って霞ちゃんの?」
「他に何処があるのよ」
「だよね。そこしかないよね」
霞が言い出してきた話だからそれは当然だった。翼は彼女の言葉にここで頷いたのだった。
「やっぱりね。それで今から霞ちゃんの部屋をだね」
「そう、御願い」
こう言う霞だった。
「いいかしら。それで」
「僕の方は別に」
家に帰っても特に
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