下忍編
軽率
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うに。際限なく、その経絡系に叩き込まれる。
さて、小さなコップのうえで、その何倍もの水が入ったバケツをひっくり返せば、どうなるか。
答えはもちろん、ある程度受け止めて、溢れるのである。
では考え方を変えてみる。上記と同じ方法で…けれど、このコップが金属でできており、そのバケツに入っている中身が高濃度の塩酸だったならば…。
それは一体どうなるか。
すみずみまで赤胴ヨロイの体に回ったチャクラは、確かに彼に力を与えた。しかし、この間にも吸引される圧倒的な高濃度の悪意を詰め込んだチャクラに焼かれ、経絡系は破壊され使えなくなっていく。一つ一つと、経絡系の道のつながりが壊されていき、けれど、腕は吸引し続ける。
結果。
「あ」
相手の腕が、はじけ飛んだ。
まるでトマトを潰したように、ぐちゃりと、べちゃりと。
起爆札を握りしめた状態で爆発したように、はじけ飛ぶ。
ひっ、とほかの下忍が息を呑んだのが気配で分かった。
男自身も驚いているらしく、体の動きが止まる。
対して、相手の驚く顔を呆然とした目で見つめていたカトナの手は、止まらない。
相手を避けさせるための一撃が、殺すための一撃となる。
そのまま、大太刀が横に薙ぎ払われ、相手の首に迷うことなく叩き込まれかけた瞬間。
その大太刀を寸での所で。
カトナの腕が受け止めた。
ぐしゃりと、潰れる音がした。
からりと、手から大太刀が離れる。と、あまり肉に食い込まなかったらしく、重力に従い、地面に落ちて転がる。
しかし、相殺しきれなかった大太刀の衝撃で体が呆気なく、横方向に飛ばされるが、くるくる途中で回転し、その場に着地した瞬間、腕が激しい痛みを訴える。
しかし、それを無視し、カトナは殺す直前だった男を見る。
男は地面に倒れていた。が、死んではいないらしい。
安心した。と同時に、だらりと、力なく腕が垂れ下がる。
骨か肉か。どちらかには興味はないと、カトナはだらりと垂れさがった腕を無視し、自分の腕を切ったことで地面に転がっていた大太刀を拾い、慣れた動作で振る。
血が滴っていた大太刀は、どうやら一部の肉を抉ったらしく、ビシャリという音と共に、血と肉が地面に落ちる。
殺せなかったのは、殺すことがルールに反しているかが把握できなかったからだ。先程の話でこの戦闘でルールを話されたはずだ。カトナは聞けなかったから、判断できないが、だが、もしも殺人がルール違反ならそれは駄目だろう。
カトナはためらいなく目の前の人物を殺せただろうけど、殺して失格になるのは、避けたかった。
だから、
「…審判、これ殺してもよかったっけ」
当たり前のようにそう問いかけた。
その言葉に今その場でカトナの
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