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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン16 鉄砲水と歯車と地獄
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お、覚えてるでアール!」

 はあ、とため息をついたところで、ナポレオン教頭が捨て台詞を吐いてこっちにベー、っと舌を出しながら走り去っていくのが視界の端に見えた。短い足でそうやって後ろ見ながら走ってると………あ、やっぱ転んだ。痛そう。

「さてと、どうもこの島に来るとろくなことにならん。表の仕事もあることだし、私もそろそろ帰るとするかぁ。少年、今度機会があればまた相手してやろぅ」

 そう言ってタイタンも、ぐずぐずしない辺りがいかにもプロらしいきっぱりとした動きでどこかへ帰っていく。
 こうして、後には僕ら3人だけが残った。

「「ありがとうございました、先生!」」

 十代と声を合わせてお礼。実際、今回は先生に来てもらわなかったらかなり危なかった。僕一人で、あのデュエルに勝つことができたとは思えない。というか無理。あんなまな板の上の鯉みたいな状態まで持ってかれたら例えデュエルキングだって無理だろう。

「別に、たいしたことではないノーネ。二人とも、私がここに来たことは他の人には内緒ですからね?」

 そうこともなげに言い、軽く伸びをしながら校舎に向けて帰っていくクロノス先生。僕もあんな感じの大人になりたいなあ、と思う。だって、カッコいいじゃない。

「なあ清明、俺とデュエルしようぜ!あんな凄いデュエルだったのに俺は見てるだけでおしまいなんて、そりゃないだろ?」

 デュエル、か。いいかもしれない。もっと強くなるには格上の相手とデュエルするのがいいってのはよく聞く話だし、今の僕にはそれが足りてないような気がする。

「よし、それじゃあ………」

 デュエルディスクを構えたところで、ふと違和感に気づいた。心なしかデッキが軽いような気がする。ちょうどカード1枚分ぐらい………1枚分………1枚……

「ああーっ!!」
「ど、どうしたんだよ急に」

 ここに来てようやく、大変なことに気づいた。確かさっきのデュエルが終わって、それから………。

「ク、クロノスせんせー!僕のポセイドン・ウェーブ返して下さいよ〜!!」

 大慌てで走り出す僕を一瞬ぽかんとした顔で見つめ、その後すぐに大笑いしながら追いかけてくる十代。全く、他人事だと思って。そうは思うものの、走りながら僕もこみあげてくる笑いが抑えきれない。何がそんなにおかしいのかは自分でもよくわからないけど、何となく声を出して笑いたい気分だ。
 ああもう全く、どうして僕が何かやるとほとんどいつもこんな最後が締まんない感じになっちゃうのかね。………ま、悪い気分じゃないから別にいいか。
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