暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン16 鉄砲水と歯車と地獄
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いようでアールが、もしかしてなにか見せられない事情でも?たとえばそう、赤字、のような?」
「ほえ?………あー、あー、あー!やですね先生、ちょっとドタバタしてただけですぐに出しますって、ホント」
「ま、吾輩も鬼ではないから明日までは待ってあげるのでアール。万一赤字になった、なんてことがあれば……約束、忘れたとは言わせないのでアール」

 一方的にそれだけ言うと、のっしのっしとふんぞり返って歩き去っていく教頭。その背中を見送りながら、多分僕の笑顔は引きつっていたと思う。





 さて、そもそもなんでここでひきつった顔になる必要があったのか?これはさらに前、まだ僕が1年だった時までさかのぼることになる。と言っても話は単純で、まだ今に比べたらはるかに純真だったころの僕がレッド寮を取り壊そうと企んでた教頭の口車に乗せられて、ある1つの約束をしたのだ。それが、

『赤字が出たらその月いっぱいでレッド寮は廃止、か』
「そゆこと」

 考えてみたらとんでもなくむちゃくちゃな話ではあるが、その挑戦を受けた僕にも責任はあるので何も言えないのだ。ちなみに僕が最近開店休業状態な洋菓子屋『YOU KNOW』を立ち上げたのも、主にこの約束をどうにかするためだったりする。まさか半年もしないうちに電話回線が引けるようになるほど儲かるとは思わなかったけど。

「ただ、そのおかげで去年までの利益はほぼすっからかん。新しく葵ちゃんも入ったし、そこからの売り上げで十分まかなえると思ったんだけどなあ………」
『油断大敵か。今回に関しては不可抗力だと私は思うが』

 それもこれも、全部あの光の結社のせいなんだ。何日もかけて菓子作りのいろはを叩き込んできた貴重な戦力である葵ちゃんがいなくなったのも痛いが、校内のほとんどの生徒があそこに入ったことで敵対してる僕の店に来るはずもなく、客がぱったり来なくなったのが何よりも痛い。しかも、ちょうど砂糖とかをこれまで使ってた安物からちょっとグレードアップさせたタイミングと重なってるときてる。一応さっきは計算してみたけど、正直なところそんなことするまでもなく明らかに大赤字だ。

「さーて、どうすっかねえ」
『別に金を用意するだけならいくらでもやりようはあるのだがな』
「え、どんな!?」
『催眠、恐喝、詐欺その他もろもろだ。この年頃なら警戒心も薄いからなおやりやす……』
「やっぱり聞いた僕が馬鹿だったよこの邪神!」

 チャクチャルさんの発想は物騒すぎる。しかも冗談でもなんでもなく、素で言ってるあたりが恐ろしい。もうちょっとまともな感性の持ち主に相談したいところだけど、今すぐ会えるような相手は少ない。さすがに帰ってきたばかりの十代にこんな重い話をするのも酷だし、誰かほかの人で味方になってくれそうで、なおかつ人格
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