第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『Shadow General』
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背後の闇色を振り払い、走る。前へ、ただただ前へ。構って要られない、時間がない。
理由など、それだけで良い。真正面の道、警備ロボットの残骸が出火したそこを────
『佳い、佳い。折角の儂が温情を無にしたのじゃ────今更』
その残骸が歪み、曲がり、拉げて、崩れた。まるで、時空ごと螺旋斬られたかのように。
『今更、この程度での挫折など恕さぬ……最期まで、この絶望を楽しむが佳いぞ』
呵呵呵呵……と、いつまでも響く耳障りな嘲り。意識から排除する。否、元々『神の声』など人は覚えていられない。何故ならそれは明確な音ではなく『兆し』でしかないのだから、次の瞬間には……もう。
『……百分の九十九、ニャアゴ!』
カッカッカッカ……と、靴音を響かせて。導かれた事すら最早記憶にも経験にもなく、嚆矢は前へとひた走っていた。
そしてその、焔と煙の残滓の先に──居た。居たのだ。
『見ィっけ、だニャアゴ!』
「っ……ジャーヴィス!」
小柄な少女、フードを目深に被ったその姿は間違いない。絹旗最愛その人だ。
まだ、無事だ。今も、一機の警備ロボットを『窒素装甲』で殴り飛ばしたばかり。だが、背中ががら空きだ。そこを狙う警備ロボットを────銃弾一発で『幸運にも』機能停止させ、『大鹿』のルーンで脚力を増加した嚆矢が躍り込む。
『女の子のピンチに颯爽と駆け付けるオイラ……惚れても良いんだぜニャアゴ?』
「そうですね、超颯爽とし過ぎてて、危うくぶん殴るところでした」
『次からは普通に出てくるニャアゴ……』
軽口を叩けば、足下に気配。敵ではない、それは……
『てけり・り。てけり・り……』
『窒素装甲』の高い防御力の所為で取り憑く事が出来ずに居たのだろう、ショゴスの一部。それが、実に申し訳なさそうに戻ってきた。これで多少は、手数が増えた。
ホールのように広くスペースを持たされた其処、恐らくは実験室か何かか。しかしその所為で、彼女は未だに五機もの警備ロボットに囲まれており。
『新手か……だが無駄だ!』
『一人増えたくらいで……不審者共め!』
『大人しく、縛に付けい!』
『女の子一人に大人気ない……ッて、駆動鎧ニャア?! コイツァあ、やべェナ〜ゴ!』
それらを指揮する、身の丈八尺七寸もの巨大な鋼の鎧を待とう守衛三人の姿があった。
警備ロボットと同じく、ドラム缶型の本体。しかし、そこから伸びる人間じみた強靭な手足。最新の『HsPS−15』と較べ
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