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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十五話  戦争への道 
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している。リヒテンラーデ侯も笑い出し元帥も笑った。

国務尚書がソファーに座る事を勧めてくれた。リヒテンラーデ侯と元帥が並んで座り私がその対座に座った。用意してくれたのは紅茶だった。
「何はともあれ無事で良かった。フェザーンの状況は知っておるかの」
「私がフェザーンを発ってから動きが有った事は知っています。ペイワードに対するフェザーン人達の反発が大きくなっているとか」
リヒテンラーデ侯が頷いた。

「どうやら地球教が動き出したようだ。フェザーンを自由に動かすには自分達の意のままになる傀儡を自治領主にしたいのだろう。ペイワードは邪魔だという事だな」
「世論を動かして辞任させるか、或いは罷免するかを考えているという事でしょう。出来れば帝国も反乱軍もあまり刺激したくない、そんなところだと思います」
私の考えにリヒテンラーデ侯が頷いた。元帥は無言で紅茶を飲んでいる。

私がフェザーンを発った後、フェザーンではペイワードの手腕、自治領主就任の不透明さを誹謗する記事が幾つかの電子新聞に掲載されている。そして論調は徐々にだが厳しくなった。今では当初批判していた新聞以外にもペイワードを批判している新聞が有る。それに伴ってフェザーン人の間でもペイワードへの批判が高まっているようだが……。

「しかしペイワードを擁護する新聞も有るようです」
「うむ、反ペイワードの勢いは強くはなっているがどちらかと言えば支持する人間の方が多かろう。もっともフェザーン人の大部分は様子見、或いは無関心のようだが……」
「はい、フェザーン人は政治にはあまり関心を持ちません。連中が興味を持つのはまず第一に金儲けです」
私の言葉にリヒテンラーデ侯と元帥が苦笑を浮かべた。

「卿の帰国も利用されているようだ。反乱軍を重視し帝国を軽視したために卿は不満に思っている。今回の帰国はその不満の表れだと」
「身の危険を感じて逃げたとは思いますまい」
「まあ、そうだの」

一時帰国の挨拶をペイワードとシャノンにしたが二人ともこちらの意図には気付いていなかった。今は如何思っているか……、案外ペイワードを攻撃しているのは私だと思っているかもしれない。その事を二人に言うと二人とも苦笑を顔に浮かべた。有り得ると思ったようだ。

「まあ本命は地球教と思っているだろうが結構卿も連中を痛めつけたからの、その可能性を無視は出来まい」
「私は国務尚書閣下と元帥の指示に従っただけですが」
「遠慮はしなくても良いのだぞ、レムシャイド伯。結構楽しかったであろう?」
国務尚書が人の悪い笑顔でニヤニヤと笑っている。はて、こんな人だったか? もっと謹厳というか厳めしい人だと思ったが……。

「閣下、ペイワードを貶めるのが地球教、擁護するのが反乱軍でしょうがルビンスキーはどう動くと思われますか
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