第三章
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第三章
「メイク変えた？」
「何か」
「わかる？」
学校で皆の言葉を聞いて。笑って言葉を返したの。
「ちょっとね。奇麗系にしてみたの」
「ふうん」
「またどうして？」
「ちょっとね」
本当のところは言えないけれど。変えたのは本当。
「そっちの方が合うかなあって」
「いいんじゃない？」
友達はこう言ってくれたわ。じゃあいいのね。
「前よりもずっと」
「奇麗に見えるし」
「そう。じゃあメイクはこのままね」
それを聞いて安心したけれど。ここでもう一つ手を打っておくのが女の子。さて、次は。
「それで服はどうしようかしら」
「制服でもねえ」
すぐに答えてくれる友達がいるって有り難いわ。アドバイスも見事だし。
「よくしないと駄目よ」
「よく？」
「そう、まずは」
私のスカートを手に取って。
「短くね」
「短く、ね」
「あんた脚奇麗だから」
言われたのはそこ。まずは。
「それでその脚をね」
「どうするの？」
「ハイソックスかしら」
今度はこう言ってきたわ。成程、ハイソックスね。
「しかも黒」
「黒なの」
「色白いから余計にいいわね」
ふむふむ。それだと黒なのね。
「それでいったらいいわ」
「わかったわ」
「それにね」
何か私を見る目が少し嫉妬めいてきていました。それはどうしてかというと。
「大きいわねえ」
「そうよねえ」
私の胸を見て言うの。
「この胸使わない手はないわね」
「そうね。ここは」
胸をつんつんと触ってきて。次の言葉は。
「ブローチがいいわね」
「ワンポイントね」
「ブローチなの」
てっきり派手にはだけるかと思っていたけれど。これは意外だったわ。
「そうよ。ブローチで目を引くの」
「案外見えない方がいいのよ」
こうもアドバイスを受けたわ。
「それで決まりね」
「学校中の男の目を釘付けよ」
「それはちょっと」
考えてないっていうか興味がないっていうか。全然どうでもいい話だけれど。
「いいの？」
「じゃあ何の為のお洒落よ」
「ちょっとね」
言うつもりもなかったし。それは誤魔化して。
「ちょっとねえ」
「まあ言いたくなかったらいいわ」
皆それに首を傾げるけれど言わないのが吉で。何はともあれこれで彼がもっと私を見ることが間違いなくなったわ。これでよし、と。
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