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SAO−銀ノ月−
第短編話
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?」

 どちらも譲らない泥仕合が始まっていく。最初に自らの手を言った方が負ける……そんな小学生並みの戦いが、更に繰り返されていく。

「あんたから先に言いなさいよ」

「……レディーファーストだ」

「いつもそんなこと言わないくせに、似合わない……」

「今日から気をつける……」

「…………」

「………………」

「……zzz」

「……スピー……」

 結果、寝た。

 そして現場の第一発見者である翔希の母に起こされると、時間も遅くなったということで映画の鑑賞会はまた後日にすることにした。しかし、その鑑賞会は随分と後になることになる。……彼らは最後まで、炬燵の呪いというのを甘く見ていたのだ。

「ゲホッゲホッ……あー……」

「へっくしょい!」

 炬燵の呪いの後遺症……炬燵の誘惑に抗えず意識を失った者には、もれなく風邪が待っているのだから。

コメント:トリプルクラウン式とかいう何かで作られた、お題式の短編。書いたのはいつの日だったか。


『キスの格言と未来』

「なあ、リ……里香。キスの格言って知ってる?」

 学園の食堂で昼食を取っていると、翔希からそんな問いかけが飛んできた。呑気に「ん〜?」と聞き返そうとした後、その質問の内容について頭が理解するとともに、飲んでいたジュースが喉に引っかかってむせる。

「おい、大丈夫か?」

 むせる原因となった翔希だったが、当人はそんなことは露知らず、心配そうな顔してこちらを覗き込んでいた。ゴホゴホと咳き込みながら、何とか持ち直して翔希の方へ向き直る。

「い、いいきなり、何よ」

「シリカとの話の流れでさ。知らない、って言ったら、『里香さんに聞けば分かる』って言われたんだよ」

 その言葉を聞いた瞬間、座っていた椅子から飛び上がると、いつも同じく食堂を利用しているシリカ――珪子の姿を探すものの、あのツインテールの姿はどこにもない。念のために窓から食堂から見下ろせる中庭も見てみたが、いつもの通りに桐ヶ谷夫妻がイチャついてるのみ。ならば、あそこにシリカはいない。

「どうした里香、そんな慌てて。知ってるなら教えてくれよ」

 あたしのよく分からない行動がおかしかったのか、ニヤニヤ笑いを堪えているかのように、口の端を歪ませながら翔希は昼食を口に運んでいた。……少し気恥ずかしい気もするけれど、確かにあたしは俗に『キスの格言』と呼ばれるものは知っている。

 手の上なら尊敬のキス、額の上なら友情のキス、頬の上なら満足感のキス、唇の上なら愛情のキス、閉じた目の上なら憧れのキス、掌の上なら懇願のキス、腕と首なら欲望のキス、その他はみな、狂気の沙汰。……だったような。そんなに詳しい訳じゃないけれど――

(わざ
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