第短編話
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状態かつDVDで映画を見ることは出来ないだろうか。
「里香、ジャンケンしよう。負けた方が映画を再生しに行くんだ」
「うんー……」
とりあえず蜜柑を口に放り込みながら、俺は里香にジャンケン勝負を提案する。意識が朦朧としていようとも、負けん気が強い里香なら勝負事には乗ってくる、という思索は当たっていたようだ。……そして、炬燵にとろけて動作が遅い里香にジャンケンで負けるはずもなく。
(この勝負貰った……!)
まさかジャンケン勝負に持ち込んでくるなんて――と、里香は蜜柑を咀嚼しながら考える。自分がこうして意識が朦朧としている演技をしていれば、見かねた翔希が映画を再生してくれると考えていたのだが……どうやら向こうも相当出たくないらしい。
しかし、このジャンケン勝負は里香も勝つ気でいた。翔希は自分では気づいていないらしいが、もう炬燵の毒にやられて様子がおかしい。自分だけでは自分の様子がおかしいとは分からない、と――里香本人にもブーメランで言えることを――考え、様子がおかしく油断している翔希相手なら勝ち目がある。
翔希は目が良く、ジャンケン勝負でも相手の手の握り方でなんとなく相手の出す手が分かる、などと嘯いていて、里香は何度となく煮え湯を飲まされてきた。今日こそは吠え面をかかせてやらねば気が済まない。
(この勝負貰ったわ……!)
さて、お互いに自らの勝利を確信し、炬燵を賭けた勝負が始まろうとしていた。これはただ炬燵から出たくないだけの戦いではなく、相手が出たところを自分のポジションにし、さらに快適に堕落出来るという、陣取り合戦の面もある。
『最初は……グー……』
口の中に残っていた蜜柑を飲み込み、すっかり柑橘類の匂いしかしなくなった口で、最初の音頭をとる。こうなれば、もう誰にも止めることは出来ない。勝つか、負けるかだ。
『ジャン、ケン……!』
炬燵に仰向けに寝転び、すっかり黄色くなった拳を天に突き上げる。もうこの時点で致命的にタイミングがズレているものの、幸か不幸か、指摘する者はいない。もちろん当人たちは気にしてすらいない。
『……ポンッ!』
――力の限り気合いを入れて自らの信じた拳に未来を委ねるのと同時に、二人とも同時に自らの……いや、お互いの失策に気づく。回らない頭で考える……この状況をどう打開するかと。
(相手の手が見えない……)
そう、まず炬燵の対面に座ってそこで寝込んだため、拳を掲げようが見えるのは体積がある目の前の炬燵のみ。もう少し浅く入っていれば、また違う結果になったのかも知れないが、どちらも深く炬燵に囚われてしまっている。要するに起き上がれば良いのだが、二人にその発想は存在しない。
「里香、何出した?」
「……あんたは
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