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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
06話 すれ違う想い
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るのか?という不安もある――負けに慣れることほど恐ろしいモノは無い。


「彼女は俺たちの犠牲者だ……俺たちが無力だった事から―――」

守る責任がある。
それを果たすためには、今の体ではダメだ―――こんな状態では何一つ守れない。
ならば、再起の戦いとそこから続く新たな戦いを始める必要がある。

そう、今の状況を打破する為の力を得る戦いを―――


「―――篁中佐……これは俺の復讐です、(オレ)自身と貴方に対する。」


この時、柾忠亮は―――柾の名を捨て、新たな戦いを始めることを決意した。








「――――」

篁唯依は戦術空母の中に在る大破した桎梏の不知火を見上げていた。
無残、その不知火の様子はその一言に尽きる。

どれ程の激戦だったのだろう。
まともな四肢は殆ど残っておらず、唯一の胴は救助の為にコックピットハッチが切り裂かれている。
そして、その戦術機の胸部はまるで内臓を食い荒らされたかのように、各機関の残骸がそのまま曝け出され、切り裂かれた装甲から見えるコックピットシートは浅黒い流血でべったりと汚れていた。

唯一残った左肩に記された組合角と桔梗を組み合わせた紋章が、その壮絶な最後を切実に訴えかけてくる。


「不知火乙壱型……か。」

不知火壱型丙、当初の想定以上に稼働時間が悪化した為に専用のOSを開発しどうにか体裁を保ったものの操縦性を劣悪な物に貶めてしまったものだ。
しかし、そのOSを通常仕様に戻したタイプNが100機ほど追加生産され、実戦に投入された――燃費の悪さを腕と戦術でカバーできる精鋭の為の機体。

しかし、それは今まで手を加えられていなかった機体の電子機器とOSのアップグレードで専用OSを完成させることで燃費と操縦性の問題を解決させたという乙壱型により、精鋭でなくてもその性能をある程度発揮できるようになる―――その存在が乙壱型だ。


メカニカルな部分にだけ目が行きがちな中でその発想は斬新だ。
AかBかという選択肢の中で、Cという選択肢を見つけ出した――戦術機開発に必要な才能とは本当はそういう発想だ。

常道を守りつつ、既成概念にも囚われない。
父の後を継ぐとして―――自分にそれがあるだろうか?



「どうしたの唯依?」
「あ、恭子様……」


不意に声を掛けられる。その声の主は凛とした微笑みを携え蒼を纏う美女。
自身の姉にして主とも言える嵩宰恭子が蒼の強化装備と専用ジャケットを身に纏い其処に居た。


「少し思うところが有りまして……壱型丙が改修されるそうですね。」
「耳が早いのね。たぶん来年の頭辺りには富士教導隊に配備されて、そこから通常部隊に配備されて往くと思うわ。」

「私が壱型丙を強く
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