妖精亭-フェアリーズハウス- part4/ルイズ頑張る
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うしたらいいんだろ…」
無策に仕事を続けても、またいずれ我慢の限界が来て客に手を上げてしまう展開になる。サイトはともかく、今の自分はハルナも保護している身だ。ろくな食い扶持もないままでは任務を続行することもできない。
「ねえ…ボロ剣。仕方ないからあんたに尋ねるわ。由緒正しい公爵家の三女が尋ねてるんだからありがたく思いなさい」
「なんでい」
寧ろ感謝するべきは尋ねる側にある、とは敢えて言わなかった。羞恥も混じっていて、言いにくそうにしながらもルイズはデルフに尋ねる。
「あの犬は私をそっちのけで他の女の子にばっか走るわよね。つまり、認めたくないけど…あの犬は私よりも他の女に魅力を感じて目移りしちゃうってことよね。
だから…私になくて他の女にある魅力を述べて見なさい」
やはりとても相談する相手への態度じゃないが、デルフは敢えて何も言わない。剣だから図太いのか、それとも長く生き続け過ぎて大人だからかはわからない。
「そうだねぇ…まずは、あの村娘(シエスタ)だな。料理ができる」
「料理なんて注文すればいいじゃない」
「男ってのは家庭的なもんが好きなんだよ。そのあたりだと、裁縫が得な女もな」
「私だってできるわよ。母様に教わったことあるから」
「へえ…」
「な、何よ?」
「暇つぶしにマフラーを作っていたら、出来上がったのはお前さんが苦し紛れにセーターと呼ぶヒトデの布きれじゃねえか。あの村娘と腕比べしたら天と地の差もあるってもんよ」
感情表現はもちろん、手先も不器用なルイズだった。実は趣味は裁縫と公言したことがあるが、ルイズの裁縫の腕前は絶望的だった。
「顔はまあ、相棒だって魅力を感じるぐらいのもんだな」
「ふふん、でしょでしょ」
ヴァリエール家の女は、美人揃いだとはよく言われるものだ。裁縫の腕前を指摘されたときはがっかりしていたくせに、美貌を褒められて鼻高々にルイズはない胸を張る。
「けど、村娘だけじゃねえ。あのジェシカとかいう給仕の娘っ子にも、ハルナって娘にも愛嬌がある。男は自分を大事にしてくれる女にならデレデレしたくなる。ああ、俺はこんなにも愛されてるんだぁって。けどよ、お前さんは笑顔よりもキレた顔ばっか露わにしてねえか?」
「……」
思えば、自分はほぼ毎日怒っている。寧ろそんな日がないと思えるくらいだ。別に笑顔を浮かべられないほど無愛想じゃない。寧ろ笑顔に魅力があると自負している。けど、魔法学院に入学する前は魔法の才の無さを指摘されてばかりで、一人ぼっちでいることもあった。学院に入学してからは学友たちからも馬鹿にされ続け、笑顔よりも逆上した回数が多い気がする。サイトが現れてからは、あいつが他の女の子に目移りするたびにやきもきさせられてイライラしてばかり。そりゃ、訳も分からずキレまくる小娘より、常に優しく接する女の方がいいに
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