妖精亭-フェアリーズハウス- part4/ルイズ頑張る
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して笑顔を絶やさず、客の愚痴や悩みも聞いてあげたり、時には相手をほめたたえ、時に体を触ろうとする客の手をそっと優しく触れて触れさせない。匠の技だった。おかげで彼女たちのチップはどんどん積み上げっていく。
あんな風にできるわけがない…。立ってるのも辛くなり、ルイズは部屋に戻った。
スカロンが貸してくれた部屋は屋根裏部屋。埃やら蜘蛛の巣やらが張っていて、ホームレスでもないかぎりこんな場所に住みたがるはずがない。
しかも客はどいつもこいつも無礼でデリカシーのない奴ばかりだ。胸がないからぺったんこだの実は男じゃないのかとか、散々言ってきてくれる。平民なんかになんでガキだのミジンコだの言ってくる。おかげでワインをぶっかけたり、手を出さないようにしても蹴りが出てきたり、足が出ないようにしても手が出てしまったり、ならば両方とも封じてしまえばいいと思うと、その場でひきつった笑みを浮かべたままで酌をすることもできず、突っ立ったまま。結局チップなんて一枚も貰えやしない。
「もう嫌…」
任務以前の問題だ。早く学院に帰りたくなった。ルイズは屋根裏部屋のベッドに腰掛けながら泣きじゃくりだした。
「なんでぃ娘っ子。湿っぽく泣きだしてらしくねえな」
「…あによ、あんたには関係ないじゃない」
ルイズを見かね、部屋の壁に立て掛けられるデルフがさやから顔を出してきた。
「どうして私がこんな目に合うのよ…私は公爵家の三女なのよ!それに虚無に目覚めたメイジなのよ!なのに、街で平民のために給仕してやるなんて…おかしいじゃない!もっとこう、私の魔法で怪獣をやっつけるとか、そんな派手な任務があるんじゃないの!?」
「はぁ…」
ルイズの喚きに、デルフは呆れてため息を漏らす。
「な、なによそのリアクションは!私が何か変なこと言ったというわけ!?」
「あたりめえだろ。お前さんがカジノで、お姫さんがくれてやった金をすったからこうなっちまったんだろうが。自分でやらかしといてもう忘れたのかい?」
「…う」
「それによ、お姫さんのご厚意でもあるんだぜ?友人として大事にしてるお前さんを、ましてや怪獣を殺してこいだなんて危ない任務を与えてやれるなんて、寧ろそれが友人に対する対応かって、俺っちだって疑っちまうぞ」
「…」
確かに、そういう見方もあるだろう。友人を死地に追いやる人間など、友人の意味を履き違えているともとれる。そもそも怪獣がどこにいて、いつどのような形で現れるかどうかを知る手段なんてこの世界にはないし、そのための技術を生み出すにはいったいどれだけの時間が必要となるのか見当もつかない。でもルイズとしては、たとえどんな危険な任務でも快く引き受けたかった。そうしてもらえないと、まるで自分のことを信用してくれていないのではと、姫の自分に対する感情を疑ってしまいそうになるのだ。
「それ
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