妖精亭-フェアリーズハウス- part4/ルイズ頑張る
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るようになるのが望ましいとは思っていても、彼女のプライドがいちいち邪魔をして一向に仕事がはかどらない。
その一方でサイトはジェシカと会話していた。
「ねえ、あんたとルイズって兄妹って言ってたけど、まっさらな嘘でしょ?」
「い、いや…正真正銘の兄妹デスヨ?」
台所にて、隣でエプロンをつけて皿を洗うサイトにジェシカは耳元でささやきながら訪ねてくる。結構好奇心の強い少女のようだ。彼女のわくわくしている笑顔がその証だ。しかし一方で胸がシエスタクラスのサイズなど、女としての魅力も強かった。
「髪と目の色も、顔立ちだって全く違うじゃない。信じる人なんていないわよ」
「う…」
「大丈夫よ、誰にも言わないって約束したげるから。あたしにだけこっそり教えてくれる?」
「い、いや、あの…こんなところで油売ってていいのか?」
言葉を詰まらせながらも、サイトはせめて自分たちが何の目的でここにいるのかを悟られないよう、何とか彼女と距離を置こうとした。
「別にいいのよ。あたしスカロンの娘だし」
「…はい!?」
サイトは思わず手にとった皿を離してしまった。しまった、このままでは割ってしまう!手を伸ばそうとするがすでに遅し、皿は床に落ちていく。
『ウルトラ念力!』
だが、ここでゼロがフォローを入れてきた。サイトの右手を使い、自分の一族特有の超能力の一端を使った。ほんのわずか一瞬だけ、皿が宙に浮いた。その一瞬と落ちていく皿を拾い上げようとした手の俊敏な瞬発力により、かろうじて皿を床に落ちる前にキャッチすることができた。
「ふ、ふう〜、危ねえ危ねえ」
額の汗を拭って皿を水洗いし、付近でふき取っていると、ジェシカが肘で小突きながらサイトに言ってきた。
「ねえ、一瞬だけ浮いてなかった?」
「さ、さあ…?気のせいだろ」
苦笑いを浮かべるサイト。今のゼロのさりげないフォローはありがたいが同時に自分たちの正体について危なっかしくもある。とはいえ、それ以前に驚かされる事実があったが。何せジェシカは美少女だ。その父親が、よりにもよってあのオカマ店長だとは。確かに同じ黒髪と黒い瞳だけど、遺伝子はいったい何をやっているの、と思わざるを得ない。
「ふ〜ん…?」
ジェシカはほとぼりが収まる気配のない好奇な目を向け続けていた。この少年は面白くて興味深い奴だ。
「最近、手紙でもあの娘がはしゃぐわけだ」
「え?」
「ううん、なんでもない。それより手を動かして!お店が忙しくなるのはこれからなんだから」
結局、ルイズはその日もらえたチップは一枚もなかった。それどころか、サイトとハルナが最初の失敗で皿やビンを割ってしまった分から給料を差し引かれてしまい、もらったものと言えば『請求書』。あれだけ恥ずかしい思いをして働いたというのに、逆に金を払えと!文無しだから金は払えな
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