妖精亭-フェアリーズハウス- part4/ルイズ頑張る
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ルイズはアンリエッタより、任務を請け負った。それは市街地にて聞き及ぶ、貴族の平民たちに対する横暴な噂の真偽を調査するというものだった。しかし資金が足りないと我儘を言ったルイズが、資金稼ぎのために慣れないカジノに触れたせいでせっかくアンリエッタが苦労して集めた資金がすべてパァに。食い扶持も寝る場所もなくさまよったところ、魅惑の妖精亭の店長スカロンに宿の提供と引き換えに、店の手伝いをすることになった。
ある意味好都合ではあった。酒場となると、客同士の会話がさまざまな情報をもたらしてくれることだってある。よくRPGにて街の人間から物語を進めるための重要なヒントを得られる、なんてことがある。現実でそれができたら、一文無しスタートも同然だった今回の任務も意外と円滑に進めて行けるかもしれない。
けど、現実はそう甘くないのだった。ルイズは客の無礼講な態度に怒って手を上げてしまい、ハルナは予想外のドジッ娘キャラを発揮して失敗の連続。
現在、ハルナは人差し指を割ってしまったビンで切ってしまい、休憩に入ったついでに切り傷の治療をすることにした。
スカロンが提供してくれた部屋は、そこしか空いていなかったとはいえ、そんなによろしい部屋ではなかった。毛布と布団と枕ガチャンと三人分そろっているが、蜘蛛の巣が天井に張っており、埃も結構たまっている。寝る前に窓を開けて掃除をする必要がある。ルイズは文句のオンパレードを披露したものである。正直、その気持ちは分からなくもないので、せめて提供する前に掃除くらいしてほしかったものである。
まあ、文句を言うよりも手の怪我を治療することからだ。ジェシカが言っていた通り、ベッドの傍らの机に救急箱が置かれていた。化膿する前にさっさと治療してしまおう。ハルナは救急箱をあけた。
ふと、ちょうど机の前の壁の窓から、月の光が差し込んでいることに気が付く。窓を開けると、美しい輝きを放つ双月が彼女を照らしてくれていた。
「………」
……が、その時の彼女は様子がおかしかった。虚ろな目で月を見上げるだけで、美しいと感じることもなくその場で立ち尽くしていた。彼女の人差し指の先から流れ落ちる血が、床にしみ込んでいった。
窓から外を虚無感のある目で見上げる彼女の姿は、何者かの視界の中に映っていたことは、誰も知らない。
ハルナが休んでからも、ルイズは頑張った…つもりでいた。とにかく頼まれた仕事だけでもこなそうと必死こいたのだが、今一つ成果が上がらない。ある客は「僕はそのぺったこんこな胸が好みなんだぁ」とか「ガキんちょを働かせているのか」など癇に障る言葉を言い放ち、ルイズはそれを聞いた途端怒ってワインを客の頭から浴びせたりビンタを食らわせたりで、客も客だがルイズの客への対応は最悪だった。当の本人だって、姫からの任務をこなすためにもまず目の前の仕事をこなせ
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