執筆者の思考
[2]次話
男の少数派。
というお題を出された。
ある執筆者は15分でそれを書けと命じられたが、執筆者は何一つ思い浮かばなかった。
あと13分。
この少ない時間で一体どうすればいいのだろうか。
お題から話をひねり出すにしろ、下手をすれば30分以上消費してしまう。
執筆者は紅茶を啜りながらキーボードをたたいた。
とにかく文字を書こう。
そう思った。
残り9分となった。
文字数は 186字/20000字。
少なすぎる、これでは短編小説とすら言えない。
あくまで、自分の尺度の中では。
刻、一刻と時間は過ぎていく。
指を弾き続けもう5分となりはじめた。
少数派。
執筆者はそれを何としてでも使おうとしたが、何一つ出来そうにない。
困り続けて文字を叩き、このようなメモ書きのような何かが出来てしまっている。
これではいけないと考えながら叩く。
はやり、それは思いつかない。
紅茶は尽き、そこには残り香すらなかった。
執筆者は画面を見続けている。
指を動かし続けている。
3分、何処かで誰かが待ってくれていそうな気分になる。
しかし本当にそうだろうか。
自分に、無名の自分に待っている人などの居るのだろうか。
執筆者は唐突に思った。
この広い広いネットではまだ1pixelしか名がない。
ドット絵も作れていないような己の存在。
そんなものを待っている人はいるのだろうか。
きっとこれを読んでいる人こそ。
この執筆者のような男につく、少数派の人間なのだろう。
そこで、ペンは止まった。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ