その雨が恵みになると信じて
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エスト、微笑む自分、そして―――お気に入りの黒いジャケットを着てピースする、アルカの姿。それをぎゅっと抱きしめ、シグリットは目を伏せた。
「だけど……まだよ。まだ、私達は終わらない」
水が光を呑み込んだかと思えば、内部から金色の光に侵食される。シャロンが優勢かと思えばすぐにティアが立場を逆転させた。
2つの魔法がぶつかり合い、せめぎ合う。
「凄い…あれも、第二開放なの?」
「違うよ。ティアの第二開放はもっと広範囲でもっと凄くて……ありえないくらいに強いんだから」
ルーシィの問いに答えたルーの呟きに、ぞくりと背筋が震えた。
今の魔法で十分な威力なのに、第二開放はその上を行くという。そんな威力を想像出来なくて、ルーシィは唾を飲み込んだ。
「ありゃオレも初めて見るが……ちょっとヤバいな」
「え?」
そう呟いたのはアルカだった。振り返って目を向けると、苦虫を噛み潰したような表情で2人を見つめている。
意味が解らず首を傾げていると、アルカはスッとティアを指さした。
「見ろよ、明らかにティアが押されてる。多分魔力残量の問題だ」
「!」
ハッとして目を向ければ、確かにティアの表情は歪んでいる。衝撃を耐えるように持ち堪える足が小さく、それでも確かに後ろに下がっていた。
徐々に金色の光が押し始め、視界が霞むのかティアは何度も瞬きをする。前へ伸ばされた腕が小刻みに震え、華奢な体躯は今にも吹き飛ばされてしまいそうだ。
「僕の魔力をティアに流せばどうにか…!」
「言いたくねえがそれじゃ足りねえ!それにお前だって魔力がもう限界だろ、これ以上やったら死ぬぞ!全員で加勢するのが手っ取り早いが……」
「あれのどこに入っていくんだよ!確実に巻き込まれちまう!」
「わーってるよグレイ!んなこたぁ百も承知だ!あれに巻き込まれりゃ一瞬でお陀仏だろうよ!けど、あのままじゃ真っ先に死ぬのはティアだ!」
その言葉に、何も言えなくなる。今誰よりも攻撃に晒されているのはティアだ。グランドクロスを防ぐ手はないし、全魔力を注いでいるから魔法も使えない。
となれば、真っ先に攻撃を受けてしまう。無防備な状態で、どうする事も出来ずに。
ルーがある程度回復したとはいえ、もう1度滅竜奥義を受ければティアへのダメージは相当だ。ただでさえ弱点である滅竜魔法の奥義を2度も喰らって立っていられる可能性はゼロに近い。ほぼゼロと言ったって間違ってはないだろう。
「じゃあどうすりゃ……!」
いいんだよ、とナツが噛みつくような勢いで叫ぼうとした、瞬間。
《大丈夫だよ》
声が
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