その雨が恵みになると信じて
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。不屈の精神という言葉をそのまま表しているかのようだった。
その目と言葉の意味をゆっくりと理解したナツは、考えるようにやや俯く。が、すぐに顔を上げ、ニッと口角を上げて、吊り目は爛々と光っていた。
「任せとけ!2分だろ、やってやろうじゃねえか!」
その答えに満足したように、ティアはふっと口元を緩め目の鋭さを少し和らげた。が、すぐに表情を引き締め、やや俯き小声で何かを呟き始める。
それが詠唱だと気づくまで1秒とかからず、認識すると同時にナツは勢いよく地を蹴った。
それは奥義。奥の手と呼ぶに相応しい、最大威力の魔法。
今のティアの全魔力を犠牲にして初めて使えるほどの魔力消費を考えると、そんな簡単にバカスカ使えるモノではない。けれど、今はこれを使う以外に勝てるであろう手はなかった。
そもそもの話。
ティア本人も、この魔法がどれほどの威力なのかを知らない。高威力だ、というのはあの明るい師匠から聞かされていただけであって、実際に見た訳ではない。
だからその“高威力”が彼女にとってのそれだったのだとしたら、常に高い攻撃力を振り回すティアから見ると大して強くもないものかもしれないのだ。大海白竜や大海薔薇冠レベルならまだ許せるが、もしこれで大海針雨程だったら、もう勝ち目なんてない。前者2つと同等の威力だとしても、勝ち目なんてないのだが。
全魔力を使うくらいだからかなりの威力なんだろう、とは漠然と思っていた。けれど素直にそうとも言えないのが複雑怪奇な魔法であり、中には多くの魔力を使うくせに小さい効果しかない魔法もある。もちろん逆もある。
それを踏まえて考えると、“高威力”を素直に“自分が使える中での最大威力”とは考えられない。
けれど、もうこれしか手がないのも事実。
考えを巡らせた結果、どのルートを通ってもこれを使わないルートはない。四の五の言わずに師匠の言葉を信じるしかないのだ。
あのお気楽な人の言葉を信じろ、というのは実は結構な無理難題で、ティアは何度も溜息をつきそうになったものだ。言う事が今日と明日で変わってるような人だという事は、ティアが1番よく知っている。
これが失敗したら、それはこちらの負けだ。ティアは魔力が空で戦闘不能、ナツ達だってあらゆる奥の手を使っても勝てないだろう。そもそも今の彼等に奥の手を使う程の力が残っているのかすら解らない。少なくとも、ルーはもう防御と回復に集中するのが精いっぱいだ、と予想する。あの調子じゃきっと、どこかで第二開放を使ってきたに違いない。
アルカも理由は解らないが疲労が目に見えて解るし、グレイは何やら気がかりな事でもあるのか目を落としている。エ
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