その雨が恵みになると信じて
[11/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ら生やすティアが、近くにいた。
全魔力を使ったはずなのに平然としている孫の姿が、初めて恐ろしく感じる。一気に恐怖に突き落とされたシャロンは、最後に孫の冷たい声を聞いた。
「腐りきった場所の頂上は、どうせ脆いだけよ」
冷たい目だった。
ありとあらゆる感情を消し去り、ただ相手を軽蔑する為だけに向けているような目。その中で確かに蠢く殺意を、全身で感じ取る。
そして、一族の憎悪の対象だった少女は、その憎悪の全てを返すように。
どうしようもないシャロンを嘲笑するかのように、悪戯っぽく口角を上げた。
「だから、私が壊してあげる。時間をかけて築いてきたものを、一瞬で」
その笑みは、悪役のようだった。
ああ、どうやら祖母は怯えているらしい…あらあら、震えちゃって。
そんなに怖い顔をしているつもりはないんだけど。ちゃんと笑っているでしょ?それとも、お望みの顔はこれじゃなかったかしら。ええ、そうね。きっと望むのは泣き崩れた顔でしょうね。
本当に趣味が悪い。人間の泣き崩れた顔なんて、求めるほどの価値はないというのに。
上に立っているという優越感に溺れる日々は、さぞ楽しかった事でしょう。
けれど、そんな日々も今日で終わり。救命胴衣は投げてあげるから、さっさと陸に上がっていらっしゃい。
……あら、何かしら。その顔は。
溺れているから助けたのに、何故そんな顔をされないといけないの?
――――――ええ、そうでしょうね。これはアンタにとっては救助ではない。
これをどう受け止めるかは人それぞれだけど、間違いなく助けた訳ではないわ。
投げた救命胴衣は崩壊と終わりの合図。陸に上がればその罪は世界に晒され一族は終わる。誇り高き女王様からすれば、座る玉座がないのは耐えられないかしら?
ふふ、床にそのまま座る生活も、慣れてしまえばどうって事はないわ。
これは、私なりの復讐。
……ああ、勘違いしないで。別に私個人の憎悪という訳ではないから。アンタ程度を憎んでたら、私の人生は損しかないもの。
けど、怒ってはいるのよ?
アンタが私を貶めるような事をしなければ、あの2人はもっと自由だったのに。
今以上の力を求めなければ、コイツ等を含むギルドの奴等が戦い傷つく事もなかったのに。
辛い事実に向き合わざるを得なかった奴も、心にまで痛みを受けた奴もいるでしょうね。
それもこれも今回の事は、全てアンタが原因なの。
……何?言い訳があるとでも?そんな逃げ道、私が用意してやる理由はないわ。あるとしても、全てを全力で塞ぐだけ。
私の周りにいる、あ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ