第七章
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第七章
「それで三つ星ですか」
「それもわかるわよね」
「それだけ美味しいってことですよね」
彼はこう答えたのだった。
「それだけこのお店が」
「そうね。簡単に言えばね」
圭はここでは多くを語らなかった。
「そうなるわ」
「そうですか。やっぱり」
「いいお店よ」
圭はここまで話したうえでまた静かに述べてきたのだった。
「ここはね」
「そうなんですか」
「誰が来たとかは言わないし」
彼女がまず言ったのはこのことだった。
「マスコミも来ないし」
「マスコミもですか」
「一人でいたい時はここにいるの」
静かな言葉で語り続ける。
「ここにね」
「そうだったんですか」
「けれどここに誰かに来てもらったのははじめてよ」
「えっ!?」
「だから。はじめてなのよ」
こう剣人に対して言うのだった。
「貴方がね。はじめてなのよ」
「僕がはじめてなんですか」
「ここだと何を話しても誰にも漏れないから」
だからだというのである。
「本当に格式のあるお店だから。だからここに来てもらったのよ」
「またどうして」
彼にはそれがどうしてなのか全くわからなかった。
「僕をここに」
「聞きたいことがあるから」
彼の目を見ながらの言葉だった。
「だからよ」
「聞きたいことって!?」
「ええ。どうしてかしら」
また彼に問うてきた。
「私に色々と声をかけたり何かをくれたりするのは」
「えっ・・・・・・」
「それはどうしてなの?」
率直に彼に問うのだった。その目をじっと見ながら。
「私に色々と声をかけてくれるのは」
「それは・・・・・・」
剣人は返答に窮してしまった。何と言えばいいかわからなかった。もっと言えば言えなかった。自分がどう思っているのかはもうわかっていたからだ。
それでも何かを言おうとする。必死だったがそれでも言えなかった。だがそれより前に圭の方から言ってきたのだった。
「わかってるわ」
「わかってる・・・・・・!?」
「言わなくてもわかるわ」
こう彼に言うのだった。
「もう。それ位はね」
「それじゃあ。羽田さんは」
「けれど。駄目よ」
首を横に振ることさえしなかった。声だけであった。
「私は。貴方の気持ちを受け入れられないわ」
「どうしてですか?」
「私は。過去があるから」
そのことは彼女が最もよくわかっていることだった。誰も何も言わなくなってもそれでも自分自身の中には残るものだ。だからこそ彼女は今言うのだった。
「だから駄目なの」
「過去があるからですか」
「ええ、そうよ」
また言うのだった。
「だから。それは」
「・・・・・・・・・」
「気持ちは受け取らせてもらうわ」
それはいいというのだった。
「けれど。受
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