温泉旅行(前編)
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旅館だというのが何故かすぐに分かった。
右に下足入れがあり、ほとんど靴が入っていた。
小さい子用の靴や、大きな革靴、学生が履いている運動靴、家族連れやサラリーマン、学生と様々な客がいるのだろうか。
左には旅館の近くある店の名前や観光地などが細かく書かれていた。
その1つに音がする白浜と書かれていた。
どうやらすぐ近くにある海のことだ。
「おい、恋也」
真ん中に受付があり、チェックイン出来たのだろうかりとが名前を呼ぶので受付の方を見る。
りとは手招きをしながら俺を呼んでいたらしい。
靴を脱ぎ、館内専用の青スリッパに履き替えてりとの元まで向かっていく。
「部屋梅の間の2番だ。先に行ってろ」
「りとは?」
「俺は後で行く。だから先に行ってろ」
「分かった」
頷いて「梅の間」に向かう。
どこにあるのかは分からないが、大体上を見たら書いているので上を向いてみる。
木製の矢印に「梅の間」と書かれていたので矢印の方向に進み、梅の間に着けば2番と言われたので、2番の部屋の前に来れば一度息を吐いてから戸を開けた。
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