≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
≪外伝≫ かなわないけれど
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取り啜りながら、首を傾けて『聞き』の態勢になる。それも見てディアベルが深くソファにもたれた。
「さっきも言った通り、まず第一層攻略を目指す会議を開く噂を流す。人数が集まり次第、攻略会議をトールバーナで行う。そこで――俺の知り合いのキバオウっていうプレイヤーに主張をさせるんだ。キバオウさんは反ベータの思想がかなり強い。会議の合間にその議論を挟んで元ベータテスターに対する皆の感情を正しい形にしたい」
「ちょっと待って、正しい形? それってつまり失敗したらそれまでってことなの?」
考えるように一拍を置いてディアベルは私の疑問に答える。
「まぁそれまでってのは違うけど……オレの言う正しい形ってのは多分思っている通りのものだろうね」
まさか、信じがたいことだがディアベルはあの高慢ちきな彼らの理論が僅かでも正しい可能性があると懸念しているのだろうか。いやあくまで念のための発言だろう。そう信じたい。
「その……キバオウさん? ――に主張させて論争させて、本当に正しい方向に進んでいくと思うの?」
「なんとかするさ」
「貴方ねぇ……」
「オレは元ベータテスターに対する反感は至極当然だと思っている。出来れば彼らの気持ちも考慮したい」
「優しすぎよ、貴方」
呆れたように喋る私のことをディアベルはどう思っているのだろうか。私が呆れたのは貴方の優しさからではないと、きっと気づいていないのだろうけれど。ディアベルとはベータのころからの付き合い――私のアバターが今とは正反対のタンクらしい筋肉質の男だったときからの付き合い――なので彼の性格はそれなりに把握している。彼の根本にあるのは決して≪正義≫じゃないはず、もっと中途半端で人間臭い性格、≪積極的な八方美人≫だったはず。
最も、デスゲームが始まって性格が変わるプレイヤーは多い。ディアベルもその一人なら過去の知識なんて推察には使えない。そう、彼の気持ちの真偽はまだ分からない。
「んー、骨格はそれでいいとしてもう少し作戦を練る必要がありそうね」
最後の一口をくいっと飲んだあとで彼の作戦を認める。今の段階じゃ特に否定する材料はないし、彼の心意気も内面は分からないけれど外装は綺麗なものだから。
「まぁ……オレだって確かに今の段階じゃ大した作戦じゃないのは分かるよ。でもさ、少なくともベータの話は掘り下げたいんだ。ただ不満が溜まって爆発するような事態は嫌だろ?」
「まあね、ディペート式に別れて討論するのは大事だとは思うわよ」
ディアベルが少し首を傾げて怪訝そうな顔をする。ディペードの意味が分からないのだろうか、はたまた私がまた知ったか顔で間違った言葉の使い方をしたのか。そういえばディペードじゃなくてディベードだったような……いや気にしたら負
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