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ラ=トラヴィアータ
第四章
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うとしないのである。
「だから。いいわ」
「わかりました。それじゃあ」
「御免なさいね」
 そして謝罪の言葉を述べる。剣人はこの時の彼女の目を見た。それはとても寂しく悲しい、辛そうな目であった。
 こう言い残してその場を後にする圭だった。後には剣人だけが残った。そして彼の心の中に彼女のその目が残った。これが彼をさらに変えるのだった。
「あの、圭さんこれ」
「これよかったらどうぞ」
「食べて下さい」
 あれこれと差し入れを彼女に持って行くのだった。皆その都度絶対に突っぱねられる、と思った。しかしそれは意外な展開になるのが常だった。
「どうも」
 彼女はにこりとはしないがそれでもそれを受け取るのだった。
「それじゃあ」
「はい、有り難うございます」 
 こうしていつも彼の差し入れを受け取ってから車の中に戻るのだった。共演者達もスタッフ達もこのことに驚かざるを得なかった。

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