第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『屍毒の棘』U
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『失敬ニャア。このジャーヴィス、女の子に嘘は吐かないナ〜ゴ』
「どーだか……なら、いい訳だけど──?」
その誰何にすらヘラヘラと猫覆面の笑顔で戯けて返した彼に、さしものフレンダも溜め息と共に諦めを。
扉に手を掛け、開く────その僅かな隙間から、コロンと転がり込んできた掌サイズの円筒形は。
『「────ッっ?!!』」
盲んばかりの閃光、劈かんばかりの轟音。不意討ちで炸裂した閃光手榴弾に、無力化出来ないモノはない。
『────いやァ、驚いたニャア。もしあと少しでも爆発が早かったらヤられてたナ〜ゴ』
初めから、物理無効のショゴスを覆面として纏っている嚆矢でなければ。そして──
『てけり・り。てけり・り』
「〜〜、〜〜〜〜!」
潜んでいた影の中から、光と対を為す『影の速度』を以てフレンダの顔を覆った、ショゴスが居なければ。
まあ、いきなり目と耳を潰されたフレンダからすれば、閃光手榴弾にヤられたのと同じ事なのだが。
『ニャハハ、良くやったニャア。ショゴス、光と音を通すナ〜ゴ』
『てけり・り。てけり・り』
『ぷはっ────ちょ、ジャーヴィス! あんた、何したの……ってか、この声は何な訳よ!』
突然の暗黒と無音に藻掻いていたフレンダだったが、漸く視界と聴力を取り戻した事で落ち着いたらしい。逆に、己に起きた異変が気に留まったらしく、顔を覆ったショゴスを取ろうと足掻き始めた。
『見つかっちまったようニャア、ジルーシャちゃん。今はそれで逃げるナ〜ゴ』
『誰がジルーシャなのよっ……結局、とんだヘボクラッカー雇った訳よ!』
『帰ったら麦野に言い付けてやる訳よ!』と息巻きながら、扉を見るフレンダ。無論、嚆矢もそうする。
『侵入者警報、侵入者警報。発見次第無力化、捕獲セヨ』
現れたのは、施設警備ロボットが三体。ドラム缶型の、かなり旧型。しかし、普通の軍隊相手ならこれだけで一個中隊規模の戦闘力が有ろう。
無感情な機械音声と低い駆動音が、警報音が静かだった施設に満ちる。因みに此処は研究棟なので、これだけの厳戒体制が敷かれている。
その警戒の網に掛かった? 否、それはない。確かに、何にも引っ掛かった覚えはないのだから。つまり──
『何、絹旗がミスったの?』
『うんニャア、どうやらアッチもアッチで奇襲受けたみたいだナ〜ゴ』
ショゴスからの精神感応によれば、此方と全く同時に。向こうにも警備ロボットが二体、襲撃を掛けてきたようだ。そう、待ち構えていたように。
だから、有り
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