―邪心経典―
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「ぐふっ……!」
背中の傷を庇いながら瓦礫に倒れ込むと、数え切れない程の闇魔界の兵士たちがそこにはいた。戦士や竜騎士、少ないながら戦士長クラスもいるようだ。……その光景を見るに、闇魔界の軍勢に攻撃を仕掛けた戦士たちは全滅し、残る敵は俺一人だけらしい。
そして、この闇魔界の軍勢もトップがいなくなったからと言って瓦解するような連中ではなく、油断せずに俺を取り囲んでいく。……死ねば明日香に謝りにいけるのか。そう考えていた時、瓦礫の下から一枚のカードが俺の手元に収まった。
「《邪心経典》……」
《邪心経典》。このカード自体に意志があるかのように手に収まると、そのカードに反応するかのように俺の手札にある《邪心教義―苦》が光り出す。後は苦しみの感情を与えるだけで、この《邪心経典》は完成し、新たな力を手に入れる――そう闇魔界の覇王は言っていた。
「……もう、どんな力だろうと……関係ない」
《邪心経典》を持ってゆっくりと立ち上がりながら、《邪心教義―苦》を《邪心経典》と重ね合わせる。すると、《邪心経典》のカードに《邪心教義―苦》のカードが取り込まれていくように、ズブズブという音をたてて一体化していく。
「……明日香を助けられる力を、よこせっ……!」
闇魔界の軍勢が向こうで何か叫んでいるが、意識が朦朧としていて聞こえない。動くな、と言っているのか。攻撃準備と言っているのか。……どうでも良い、疲れた。
俺が《邪心経典》のカードをデュエルディスクにセットするのと、闇魔界の軍勢が一斉に襲いかかって来るのは、ほぼ同時のことだった。
「《邪心経典》――発動!」
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