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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―邪心経典―
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ワーム・ヴィクトリー》の5000には僅かながら及ばない……!

「それでも……叩き潰す! リバースカード、オープン! 《シンクロ・ストライク》!」

「シンクロ・ストライク……?」

 俺のフィールドに残された、最後のリバースカードが開かれる。その効果は、フィールドのシンクロモンスターの攻撃力を、シンクロ素材の数×500ポイントアップさせるというもの。……闇魔界の覇王のお望み通り、500ポイントアップだ。

「《ギガンテック・ファイター》のシンクロ素材の数は四体。よって、2000ポイント攻撃力をアップする!」

 《メンタル・カウンセラー リリー》を初めとした、シンクロ素材となった《スピード・ウォリアー》や《ニトロ・ウォリアー》が《ギガンテック・ファイター》に力を貸していく。正面から叩き潰すという決意の通り、《ギガンテック・ファイター》の攻撃力は6600と化し、《ワーム・ヴィクトリー》へと右の拳を向ける。

「覚悟は良いか……! バトルだ!」

「やっ、やめ――」

 闇魔界の覇王の制止する声が聞こえてくる。……もう遅い。《ギガンテック・ファイター》がその力を振るい始めれば、止められる者など誰もいない。

「ギガンテック・ファイターで、ワーム・ヴィクトリーに攻撃! ギガンテック・フィスト!」

 《ギガンテック・ファイター》が自身の拳と手のひらを打ちつけ、《ワーム・ヴィクトリー》にその拳を向ける。ワーム・ヴィクトリーは抵抗して六つの触手を振り回すが、ギガンテック・ファイターはその攻撃をものともせず――右ストレートの一撃で、容易く肥大化した《ワーム・ヴィクトリー》を破壊する。

「え」

 仲間であるワーム軍団を取り込んで肥大化し過ぎた《ワーム・ヴィクトリー》は、《ギガンテック・ファイター》の拳を受けて破壊される際、スタジアムへと倒れ込んでいく。崩壊するスタジアムの傍ら、《ワーム・ヴィクトリー》の下敷きになった闇魔界の覇王は、断末魔の叫びをあげる暇もなく潰されてしまっていた。

 ……とても呆気なく。

覇王LP450→0

「………………」

 《ワーム・ヴィクトリー》から遠い場所にいた俺は事なきを得て、デュエルが終了したことによって《ギガンテック・ファイター》と《シャインスパーク》が消えていき、残ったのは崩壊したスタジアムのみ。闇魔界の覇王を倒して、その後に俺は何をどうする気だったんだ……と、フラフラと瓦礫に近づいていく。

「……明日――」

 香、と声を出す前に背中に鋭い激痛が走る。その痛みに耐えながら何とか背後を見ると、そこには闇魔界の戦士 ダークソードの姿があった。その剣にはべったりと血が付いており、ああ、斬られたのか――と自分でも不思議なくらいに素早く状況を理解する。


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