第七話:決意決着
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れでも構わないと思う。
自分が歪むことでこの世界から解放されるのであれば、躊躇う道理はないはずだ。
「あ、そうだ……」
「どうした?」
玄関の取っ手に手をかけたところでユメが立ち止まっていた。
どうかしたのかと思い声をかけると、彼女が振り返った。
「レン、助けてくれてありがとう!」
そう言うなり、ユメは家を飛び出して行った。きっと恥ずかしかったに違いない。
部屋に一人残されたレンは、唐突の事に反応できず立ち竦んでいた。
「ーーああ、最近感謝の言葉を聞いてなかったからかな……すげぇ、嬉しかった」
虚をつかれた顔をしていたレンだったが、次第にその表情は和らいでいった。
「オレからも言わせてもらうよ。お前のお陰で前を向くことができた……ありがとうな、ユメ」
決して本人の前で言うことはないであろうから、今の内に感謝の言葉を言っておく。
「…さて、オレも一応アイツに報告しに行くか」
指名手配されている三人を捕縛したのだ。報告に行く義務はあるだろう。
実に面倒だが、仕方ない。幸い目的地は目と鼻の先だ。
† †
「おや、こんな時間にどうしたのかね? レン君」
「報告だよ」
白亜の尖塔の内、最も巨大な建物である『血盟騎士団』本部。そのリーダーの部屋をレンは訪れていた。
「指名手配されていたPoH、ザザ、ジョニー・ブラックの三人をさっき黒鉄宮へ強制投獄した」
「ほう…レン君が一人でやったのかい?」
「いや、一人協力者がいた。そいつと合同だ」
「そうか。素晴らしい成果だ。感謝するよレン君」
憮然と自身を見やる英雄の姿に、ヒースクリフは慇懃に頷いた。
その態度が気に入らないのか、彼は不機嫌そうな顔をする。
「……次の攻略戦は参加するんだろうな?」
「勿論。だが、前回の攻略戦を見るに、しばらくレン君とアスナ君に指揮を任せたい。頼まれてくれるかな?」
「…何故だ? オレよりもアンタの方が信頼されているだろう」
どうやら彼は、自身を過小評価する傾向にあるらしい。
レンの指揮能力は現血盟騎士団副団長のアスナにも引けを取らない上に、彼はプレイヤー全員の期待を背負う『英雄』である。例えヒースクリフが『聖騎士』と呼ばれていようと、英雄には勝てないだろう。
しかし、それは彼には言うまい。
「ふむ…私の正体は知っているだろう? そして、私の身の振り方も」
「……なるほどな。今の内にプレイヤーをアンタがいなくても平気な状態にするということか」
ヒースクリフの正体はこのSAOの開発者であり、SAOのラスボスとして最上階の『紅玉宮』へ君臨する予定の魔王である。
しかしゲーム序盤のプレイヤー達の様子から100
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