第七話:決意決着
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うでもよかった。
「それがどうした? アイツらの信念は本物だった。アイツらの魂は紛れもなく英雄のものだった。そしてそんな魂が、オレと共に在ればそれでいい」
レンの意思は固まった。恐らくそれが揺らぐ事はないだろう。
彼はこれから、常にアイギスと共に生きていく。
「じゃあなPoH。せめてオレがこの世界を終わらせる時まで、牢屋で頭を冷やしていろ」
トン、とPoHの胸が軽く押され、そして彼の体は青白い光に呑まれていった。
終戦の鐘が響く。定刻に鳴るようになっている鐘は、皆から恐れられた殺人鬼への敗北宣告であった。
回廊結晶の光が消えていく。殺人鬼は英雄によってその身を永久牢獄へ投じられた。
薄暗い谷底に似合わない、清涼な風が吹いた。
「…終わったよ、ネロ、みんな。
ああ、もう迷わない。この世界は、オレが、オレこそが終わらせる」
誓いを剣に。思いを胸に。過去の因縁を絶った英雄は、聳え立つ迷宮区を見上げた。
「あ、ユメのこと忘れてた」
† †
「レン!」
55層のプレイヤーホームに帰ったレンを迎えたのは、今にも泣き出しそうな表情を浮かべたユメという名の黒い弾丸であった。
「ぐ…っ、ユメ…離れてくれ…!」
見事に鳩尾にクリーンヒットした弾丸は、ペインアブソーバが働いていないせいでその威力をそのまま伝えてくる。
「なんで一人で無理したの!? 心配したんだよ!?」
「そりゃお前が気絶していたから仕方なくだな…」
「だからって転移させることないでしょ!? 復帰したら二人で戦えたのに!」
「あーあーあー、悪かった。悪かったから、取り敢えず脛を蹴るのはやめてくれ」
地味に痛いです。
それにしても、ユメの心配性は相変わらずのようだった。最近では関わりが少なくなってきて少しは変わったかとでも思っていたが、どうやらそんなことはないらしい。
「そういえば、PoHたちは!?」
それが一番に聞くべきではないのか、というツッコミはぐっと堪える。
「オレが全員倒して黒鉄宮に送ったよ。軍の奴から報告と感謝のメールが来たから間違いない」
「え…レン一人で三人も倒したの?」
「まあ、ほとんど不意打ちみたいなものだけどな。運が良かった、ってことだな。だからその人外を見るような目をやめろ」
その目を向けられると結構傷つく事を彼女は理解していないらしい。
「依頼主に依頼達成の報告をしなくていいのか?」
「あっ! そうだった、行ってきます!」
騒がしいのも変わらない。
その少女の不変に、レンは己がどれ程歪んでしまったのかを自覚していた。
「ああ、行ってこい」
しかしそ
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