第七話:決意決着
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を持っていればそんな信念を抱くことができるのだろうか。
ああ、そうだ。アイギスはラフィン・コフィンとは違う。
アイギスはこの世界からプレイヤーを解放せんと剣を掲げた英雄であり、ラフィン・コフィンはその英路の邪魔をする障害でしかない。
アイギスの最期となった結果などどうでもいい。その過程、彼女らの魂は、信念は本物だったと、オレが覚えていればいい。
ーーアイギスは、オレと共に在る
ならばこそ、PoHを殺してはならない。もしアイギスのリーダーだったネロがオレと同じ立場であってもそうしただろう。
なにせ、アイギスは万人を守り救う盾なのだ。アイギスの敵はプレイヤーではなくソードアート・オンラインこの世界自体。
幾ら人を殺してきたPoHであろうと、アイギスであるオレが殺すわけにはいかない。
故に、憐れな殺人鬼には、死以外の哀れな末路を。
「貴様を、救済する」
ーー即ち、永久投獄である。
† †
目の前で起きた複数の不可解な出来事に、PoHは舌打ちを漏らすことしかできなかった。
麻痺毒で痺れさせたレンの命を狩ろうと友切包丁を振り上げれば彼のアバターが自壊したり、少ししたら麻痺、ダメージ、その他諸々の弱体化が完全に治癒した状態で、まるで散ったポリゴンを掻き集めるようにレンの体が復活していた。
「貴様を、救済する」
なにがあったのだろうか。なにが起こったのだろうか。
迷いのない瞳でこちらに剣の切っ先を向けるレンに、PoHは胸中でそう喚くしかなかった。
「救済、だと…?」
「ああ、救済だ。貴様はこれから、このゲームから助け出されるのを安全な黒鉄宮の牢獄で待っていればいい」
それはこの世界に囚われたプレイヤーにとって何よりもの救済となるだろう。なにせプレイヤーにとってはこの世界からの解放こそが救済となるからだ。
このデスゲームがクリアされるまで、自分は危険を冒さずにただ助けを待つ。
死ぬ危険など万一にもない。
一体、これを救済と言わずしてなんと言うのか。
だが、それは常人にとってのものだろう。
殺人鬼である彼にしてみれば、その提案は認められるものではない。
そもそも基準が違うのだ。
プレイヤーはこの世界から逃れたいがために戦う。しかし殺人鬼は違う。
彼らは歪ながらもこの世界を愛し、そして楽しんでいる。
ならばこそ、万人にとっての救済は彼にとっての救済足り得ない。
それ故に、PoHは剣を執った。
「シッ!」
鋭い気勢から放たれるは攻略組のトッププレイヤーと比べても遜色のない速さの突き。
幅広の剣から繰り出されたそれは、躱す為に大きく体を動かさな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ