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メモリーブレンド
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[9] 最初
を口にはしなかった。
 「これからどうするの?」 
 香織は素っ気無く聞いてきた。
 「?別に無いけど」
 とにかく香織にここに来てもらってこの前の事を謝る事だけを考えていた。その他の事は全く考えていなかった。
 「わたしの下宿に来ない?新しいCD買ったんだけど」
 「え!?」
 それは予期せぬ言葉だった。それにこれからは学がとにかく謝るつもりだったのだから。
 「来るの?来ないの?はっきりしてよ。来ないなら別にいいけど」
 「・・・・・・・・・」
 学は香織の真意がわかった。そしてどうするべきかもわかっていた。 
 「行かせてもらうよ。アーティストは誰?」
 「宇多田よ、最新のアルバムが出たのよ」
 「宇多田か、いいね」
 「そうでしょ。さ、行きましょ。駐車場に車停めてあるし」
 「うん」
 香織は学を急かす様にして店を出た。後にはテーブルの上にティーの入っていないカップが二つ置かれていた。

 メモリーブレンド  完


            2003・11・2
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