メモリーブレンド
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。ティーの底に落ちそこから白い雲となってカップ全体を包んでいく。その白と紅が混ざりティーは白に紅が僅かにかかった様な独特の色になった。
学はふと思った。男と女の付き合いはこのティーの様なものかもしれないと。
それぞれの想いが混ざり合って恋愛となる。例の気の利いた先生が別の機会に言った言葉だ。この先生は他にも色んな事を言ったので多くは憶えていない。ただ『良い恋をしろ』とはいつも口癖の様に言っていた。
「けれど混ざるのは想いだけじゃないな」
混ざり合うのは想いだけではない、記憶も混ざり合うのだと思った。
混ざり合った記憶は二人の共通の記憶となる。そして永遠に二人の中で芳しい香りを醸し出していくのだ。
「・・・けれどそれは全部俺が駄目にしてしまった」
学は肩を落とした。混ざり合ったティーとミルクは別れてはいないが。
二人の心は自分のせいで離れてしまった。それを何とかする為に今日ここへ来て香織を待っているのだが。
「・・・やっぱり来てくれないか」
窓の外を見る。夕陽は半ばまで海に沈んでしまっている。
とりあえず最後までいるつもりだ。あの夕陽が沈んでしまい店が閉まろうとも何時までも待つつもりだ。そうしなければならないと思っているからだ。
夕陽は完全に海に沈んだ。海はまだその光で輝いているがすぐに暗くなり闇の中に消えていくだろう。
「・・・・・・来ないか。けれどそれでも」
海から目を離した。そしてテーブルの上に視線を移したその時だった。
ガチャリ
店の入口と開ける音がした。この店の入口は昔ながらのガラス製の手押しの扉なのだ。これはこれで趣きがあった。
学はそれに気付かなかった。だが今しがた入って来た人はそのまま店の中を歩いていく。
学ぶのいる席の前で立ち止まった。そこで学もようやく人が来た事に気付いた。
「あ・・・・・・・・・」
学は顔を上げた。そして些か間抜けな声を出した。
「・・・・・・・・・来たわよ」
香織だった。薄いピンクのブラウスに青のジーンズを着ている。
「・・・・・・・・・うん」
それ以上は言えなかった。また言う必要も無かった。
「色々考えたけれどね。この店に入ってみたの」
「・・・・・・・・・そうなんだ」
もし学が今この場にいなかったならば全ては終わっていたであろう。そう確信させるものが香織の声にはあった。
「・・・・・・わたしの分も注文してくれてたのね」
ふとテーブルの上にあるカップを見て言った。
「うん」
「じゃあ飲ませてもらうわね」
そう言う学の向かい側のテーブルに座った。そしてそのカップを取り口に持って行った。
もうすっかり冷めている。だが香織はその事
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