九校戦編〈上〉
FLTのCAD開発センター×飛行術式テスト
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「上方への加速度減少・・・・ゼロ。等速で上昇中」
ゆっくりと浮かび上がるテスターの身体がここ観測室のある高さ3mまで上昇してから目線が並んだ。
「上昇加速度、マイナスにシフト・・・・上昇速度ゼロ。停止を確認」
ここまでは、浮遊術式でも可能な範囲なのでここからが本番だ。本部長も凝視していた。
「水平方向への加速を検知」
誰かが、誰もが、息を吸い込み、息を詰めた。
「加速停止。毎秒1mで水平移動中」
観測報告が耳に入る前に、ハッキリと分かる速度で空中を移動しているテスターの姿が目に入った。
「動いた・・・・」
「飛んでいる・・・・・」
半信半疑の呟きが逆に、目にするものが事実だと実感させたのはテスターの一言である。
『テスター・ワンより観測室へ。僕は今、空中を歩いて・・・・いや・・・・宙を、飛んでいる。僕は、自由だ・・・・・』
予定外の通信がスピーカーから流れ出したのか、それが驚愕と変わり感情のリミッターが外れたのだったと共に俺達は互いの拳を当てていたのだった。深夜達は握手をしていたりしていた。
「やった!」
「成功だ!」
「おめでとうございます、織斑会長!」
「私からも言わせて下さい、織斑会長。あなたは歴史を塗り替えたのです、これは賞賛を値します。改めておめでとうございます!」
牛山の声と共に本部長が来てから、俺に一礼をしてから握手をしたのだった。万歳を叫び始める観測要員に、ランダムな航跡を空中に描くテスター。狂騒を示す所員達の祝福を俺達は受け止めたのだった。そんでしばらくしてからであった。
「お前ら、揃いも揃ってアホか・・・・・・?」
俺達はテスター達がいる実験室に入っていたが、さすがの俺でも牛山と同じ気持ちである。椎原辰郎本部長は早速本社に報告書を作成するために、デスクに戻って行きやがったがまあいい。それを見るのも俺の仕事だからな。牛山が呆れ顔で見下ろしていたのは訳がある、魔法の使い過ぎでダウンしたテスター達を同じく呆れ顔で見ていた俺達だけど。テストは予定時間より大きく超過して、九人のテスター全員の魔法力が尽きるまで続いたのだった。観測が上手く行かなかったのではなく、テスターが止めなかったからである。彼らの要望で命綱を兼ねた有線ケーブルは無線通信に切り替えられ、仕舞いには予定外の鬼ごっこを始める有様だったから俺以下深夜達や蒼太達も呆れ顔。
「常駐型魔法がそんなに長時間使える訳ねえだろうがよ」
現代魔法のほとんどは瞬間的か短時間に発動されるもんばかりだから、継続的に作用する魔法の大半は発動時に作用時間を指定するのであって、連続的に発動し続ける魔法を常用する魔法師は少数だ。例えば高周波ブレードは常駐型に分類されるが、実態はほと
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