第8話 二人の鬼、出会いを語る
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ていたコーヒーを飲み干し、こう答えた
「お前の言う通りなら苦労はしなかったさ……だが実際風間の野郎との戦いは熾烈を極めた。あいつとの戦いは何度も命を落としかけた」
「そ、そんなにですか?」
「ああ、こっちが刀を両手で振るっているにも関わらず相手は片手だ。それでも何とか生き残って戦い続けた」
「「………」」
土方の強敵の告白に何も言えなかった。そんな相手とは会いたくないとさえ思うくらいだ。
「最終決戦の鳥羽伏見の最中、薩長軍に錦の御旗が挙げられて向こうは官軍。幕府軍は賊軍扱い……その戦いの最中に古株の一人だった源さん…六番隊組長の井上源三郎を失った。あの人の最期を見届けたのが……千鶴だった。
後になって分かったが総大将の徳川慶喜は直属の家臣数名だけを連れて、あの時、あの戦場で戦い続けた何万の兵達を見捨てて尻尾を巻いて、江戸に逃げ帰った……そこから負け戦が始まった。甲府の戦いで新八と原田は脱退。俺達の大将だった近藤さんは打ち首にされ、目の前で多くの仲間も死んだ。だがそれでも、千鶴も…生き残った俺たちも諦めなかった。“誠の武士”として最後まで諦めなかった。抜刀斎は戦争の途中で姿を消し、風間とは蝦夷で本当の意味の一騎打ちをしていたが、あの変な女に邪魔されて……この世界に来ちまったってことだ」
「そうだったんですか……」
上条は気まずい表情で呟いた。戦争なんて経験はないししたくもない。だが目の前のこの男はそんな苦しい戦いを生き抜いたんだ。下手な言葉は土方に対する侮辱だと感じたため、俯いてしまった。
そんな上条に察したのか土方は苦笑しながら
「まあ、幕末の話は此処までだ。これからの新しい時代を担っていくのはお前ら若い連中の仕事だ。俺はせっかく生き残ったこの命で…お前らの重荷を少しでも減らす……それが俺の今の仕事だ」
「「………」」
上条と土御門も土方に何かを感じたのか何も言えなかった。
しばらくすると土方の携帯が鳴り響いた。仕事かと携帯を見れば発信先をみると“雪村千鶴”と表示されていた
「千鶴、どうした?なにかあったの…」
『土方さん!助けてください!!』
「千鶴!?どうした千鶴!?何があった!?」
『土方さん!学園都市に羅刹が…羅刹が現れました!!』
「何ぃ!?」
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