第8話 二人の鬼、出会いを語る
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でも助けに来たわけじゃないよ?どっちかて言うとその浪人たちを追ってきただけだからね」
「え?そうなの?」
「そう、そして初めて土方さんに会った時は…」
『運のない奴だ…いいか、逃げるなよ?背を向ければ…斬る』
「と言われながら刀を向けられてね、あの時の土方さんの目は本気で斬る目だったね」
「「えええええぇぇぇぇぇっ!!?」」
「でもね?あの時の私は今にも殺されるかもしれない状況だったのにあの時の土方さん、“美しい”って思ったの」
「な、なんで?」
美琴には理解できなかった。今はお互い引かれ合っているのは分かるが、初対面でいきなり殺されかけた時にも関わらず、見惚れていたなどと言われても理解が出来なかった
「あの時の土方さんね、髪を長く伸ばしてたの。なびく漆黒の髪、ひらひらと舞う雪が月明かりに照らされる姿に息を呑んだ。あれはまるで……狂い咲きの桜に見えたな……」
そういった千鶴は頬を赤く染め、土方との出会いを思い出していた。そんな千鶴を見て美琴もカナも少々呆れていた。“恋は盲目”というが、そんな状況でも惚気る千鶴には色んな意味で勝てないと悟った二人だった。
一方上条達の方も土方と千鶴の出会いを聞かされた。長話になるということで土方が上条たちに缶コーヒーを渡していた
「それじゃあ、土方先生は雪村とはその時の出会いで一目惚れしたんですか?」
「なわけねぇだろ?出会った当初は当時協力関係にあった綱道さんを探すための手段にすぎない…そう思ってた。だがその後、池田屋を始め…俺たち新選組は“ある”男たちと戦うようになった」
「ある男たちって…やっぱり長州の桂小五郎、薩摩の西郷隆盛のことですか?」
「いや違う。確かにあいつらも驚異だったが、新選組にとって一番の強敵だったのは自らを“鬼”と名乗った薩摩の志士…風間千景ともう一人、歴史の表舞台には決して姿を見せなかった攘夷派最強の人斬り……緋村抜刀斎!」
「風間…千景」
「緋村、抜刀斎
土御門も上条も…土方が『強敵』と評したその二人に戦慄を覚えた。
「抜刀斎には幕府の要人を始め、新選組の多くの仲間が斬られた。そして風間の奴は…“千鶴を嫁に寄越せ”と言ってきやがった」
「「ぶふぅぅぅぅぅ!?」」
土方から自分たちの予想の斜め上の事実を教えられ、上条と土御門は口に含んでいたコーヒーを噴き出した。
「げほっ!げほっ!ひ、土方先生…それ、マジですか?」
「ああマジだ。風間と千鶴は遠縁になるがある血筋の同族でな。風間は自分の血を濃く残すために千鶴を狙ってきた」
「成程ね…でもそんな奴は土方先生が倒したんじゃないのか?」
土御門の尤もな疑問を投げるが土方は缶に残っ
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