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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第104話 帰り来る
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すけどね、俺は。信用しない……信用出来ない相手を使う事は、普通に考えると出来ないと思うのですが。

 その刹那。

 ずん、とばかりに大気が裂ける。
 床を這う様な一閃がハルヒと朝倉さんの間を縫うようにして迫り来るのを、視覚以外の何かで察知。
 そのまま捨て置けば、急激な上昇の弧を描いて俺の首を跳ね飛ばす位置にまで上昇して来る事が確実。
 刹那――
 僅かに。本当に自然な形で上体を動かし、紙一重でその見えない刃を躱す俺。
 その瞬間、俺の右手に発生する強烈な気の塊。
 イメージする。それはすべてを斬り裂くクラウソラスの光輝。

 しかし! そう、しかし!

 俺が放った剣線は三。ひとつはさつきの頭上から。ひとつは何の捻りもなく正面から。
 そして、最後のひとつ。本命と言うべきそれは床すれすれを這うようにして、ほぼ真下から跳ね上がる軌跡を辿る剣線。
 狙い(あやま)たず彼女を捉えたかに思われた剣線。しかし、それは次の瞬間、儚い精霊の輝きを残して消えて仕舞う。

 共にその場を一歩も動く事なく。いや、余計な……。戦闘に際して行うような動きは一切行う事無く攻撃を放ち、そして、相手の攻撃を防ぎ続ける俺とさつき。
 そうだ。この時、俺は間違いなく普段以上に細密に世界を感じていた。この部室内に存在するすべての精霊に意識を広げ、僅かな気の乱れを感知。その乱れが、何に起因するのかを一瞬の内に判断。そして、まるで事態が起きる前……実際に攻撃的な波動が起きる前から予知していたかのような精確さで、その乱れの元を消滅させて仕舞う。
 そう、それは正に予知、と呼ぶに相応しい能力。
 確かに今までも気の高まりと共に微妙な魔力、霊力の流れを感じる事が出来た。そして、それが出来なければ、いくら自らの時間を操ったトコロで躱せない魔法、弾けない剣撃は存在していた。
 しかし、今はその微かな。本当に微かな流れ。まるで次に彼女……さつきが何をしようとしているのかさえ、先に判るような気がしていたのだ。
 そして、それはおそらく彼女も同じ。ハルケギニアでも彼女。崇拝される者と名乗った炎の精霊王との戦いはこんな感じでしたか。

 共に舞うように互いの刃を放ち、
 その見えない刃を、こちらも見えない刃で弾いて行く。
 それはまるで連舞。いや、現状、共に動かずに霊気のやり取りだけに終始している以上、それはテニスのトッププロ同士が行う熾烈なラリーの応酬に似ているかも知れない。
 互いが流れの中で相手の動きを読む。共に放つのは必殺の太刀。しかし……いや、故に、その太刀を真面に受ける訳には行かず、紙一重で捌いて行く。
 この時は本当に相手の生命すら奪い取ろうとする鋭さと、そしてある種の鮮やかさのみが存在していたのだった。

 但し――

 一瞬
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