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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第104話 帰り来る
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の自由意思に任されていた】

 かなりの陰の気を纏って……。

 成るほど。本来はどっちでも良かったトコロを、彼女の意志で……。つまり、彼女が異世界同位体の俺に会いたかったから召喚を行い、其処に異世界漂流中の俺が引っ掛かって仕舞ったと言う事ですか。
 それに、それは別に奇異な事では有りません。水晶宮と言うのは組織の規模は大きいし、かなりの力は持って居ますが基本的には龍種の互助会。別に絶対的な支配者の命令の元、下位の人間がその取り決めに従って一斉に動く上意下達の組織などではなく、その現場の人間の裁量に任される部分が多い組織でも有ります。
 故に、かなり甘い……。例えば、涼宮ハルヒに起因する世界の混乱を終息させる為に、彼女の排除。元々、涼宮ハルヒなどと言う少女はこの世界に存在して居なかった……と言う結末を作る事も可能だったはずなのに、何故か彼女が存在しているこんな不安定な世界を作り出す事も有るのですが……。

 もっとも、上層部の方でその行為。ハルヒを生存させても問題ないか、と言う部分のシミュレートは何度も繰り返した上で彼女を残しても大丈夫だろう、と言う結論を得たのでしょうし、俺の召喚に関しても然りだとは思うのですが。
 それに所詮、召喚されたのは俺。ハルヒの生存ルートに比べたら世界に与える影響が違い過ぎますから、上層部の方もそんなに深く予測した訳ではないでしょう。

【もし……】

 別に、俺を召喚した事を追い目に感じる必要はない。そう言う結論を敏感に感じ取ったのか、長門さんが更に言葉を重ねる。その時に感じたのは決意。これから彼女が口にするのは、何か重要な事柄。
 ただ……。
 ただ、その決意の中に何故か感じる淡い期待。俺に何を求めて居るのか判らない。ただ、彼女が俺に()()を求めて居る事だけは感じられた。

【もし、わたしが世界に害を為す存在だと判断したのなら……】

 あなたの手でわたしを処分して欲しい。最後の部分は実際の言葉にして伝えて来た訳などではなく、余韻からそう言う考えであろう、と言う事が想像出来たと言う事。
 その瞬間、胸に熱い何かを感じる。オマエでは埒が明かないから俺に喋らせろと言う強い自己主張を行うかのような熱情。

【そんな心配は無用やと思うけど――】

 俺。……心の奥深くから湧き上がって来る現在の自分以外の想いを無理矢理ねじ伏せ、表面上は冷静な振りをしながらそう前置きを行って置く俺。まして、今現在の彼女から感じている感覚は負や陰の感情に支配された存在ではなく、陰と陽。そのどちらにも傾き過ぎない曖昧な存在。
 人から。いや、ありとあらゆる存在から変わる仙人と呼ばれる存在に相応しい安定した感情を持つ少女。

 そんな彼女が簡単に、世界に害を及ぼす存在――邪仙へと変化するとは考
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