第十三話【彼と彼女】
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申し訳なさそうに言う。
「本当だよ。あれじゃまるで付き合って浮かれているバカップルみたいじゃない!」
ああ、私のバカ。先まで抱き着きたがっていた癖に……。それに大地は困っていた私を助けてくれたのに、なんで素直になれないのよ……。
「だって、あいつらに構っていたら俺が聞きたいこと聞けなかったから」
拗ねた口調で大地が言う。
「聞きたいこと? てか、それならこっちだって一杯あるわよ。昨日のこととか!」
不意の質問返しに大地が狼狽する。そしてまた申し訳なさそうな表情をする。
「それのことを今は言えない……。で、でも????」
「いつかはきっと話したいと思っているでしょ?」
大地が顔を上げる。大地の目を見て、
「いいよ! 秘密の一つや二つぐらい。大地が私を守ってくれるならそれで」
きっと大地のことだから誰かのことで悩んでしょ。このお節介さんのことだし、それに他人のことを聞くのはその人にとっても嫌だしね。
「ところでさっきの質問って?」
少し大地は話すのか、話さないかを迷っているのが窺えた。
「ああ、鬼ごっこの日に告白してきた演劇部の先輩からその後なんかされた?」
やっぱり、さっきの質問でばれちゃってたか。まあばれてるなら隠す必要ないよね。
「演劇部の先輩かは知らないけど、琢也先輩からはあの後なにも連絡ないよ」
大地の拳が小さくガッツポーズする。もしかして、私のことそんなに独占したいのかな。
思わずにやけそうになるのを堪えるところが本当に素直じゃない。
「遅れると凜の母さん困らせることになるし、早いとこ行くか」
そのまま大地は私の家へ行き、扉を開けて中に入る。すると中からお母さんの声が聞こえる。
「お帰り〜。今日も頑張って働いてね」
そのまま、服を着替えてエプロンをして私の家で経営しているカフェの手伝いをする。まあ大地の場合は給料が発生いているからバイトって形になるけどね。
お母さんは黙っておこうかな? 付き合っていることを
☆
「こいつが新しい奴ですか? ぷっ、まじか在り得ねぇな。お前綺麗な字はかけまちゅか?」
「もう、あんたは本当に下品でうざいわね。少しはその悪臭漂う口をチャックしてもらえません?」
「ああん。お前喧嘩売ってるのか? それとも前に掛けに負けたことがそんなに悔しかったのかな?」
「お二人とも、新人の前で火花散らさないでください。折角今日は楽しみな賭けの日ですよ」
「けっ、いい子ちゃんぶりやがって。連勝はここでストップだ、今回の賭けでお前からその余裕を消してやるよ」
「そんなこと言って負けて新しい子を増やさないでよ。って言ってもあんたじゃね……」
「もうその辺にしてくれないか。さあ早く賭けをしよう」
一人の言葉で周りは落ち着く。いい子ぶりっこの
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