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凡人? 天才? それとも……。
第十三話【彼と彼女】
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   ☆

ため息が出る。ああもう、ため息ついたら幸せが逃げるのに……! でも、どうしたんだろう? 昨日は元気なかったな……。今朝は部活見学だあぁぁぁ! って、気合いっていたのにな。やっぱりいつもいるのはストレスになるのかな。だから昨日も誘ってくれなかったのかな。
「おはよう! 凜。……ってどうしたの? そんな顔して? もしかしてこのクラスのごみどもになにかされたの? 告白とか? されたなら断っときなさいよ。ここのクラスにはろくでもない男ばかりなんだから」
 陽奈の可愛らしい子顔が目の前に現れる。吃驚して悲鳴を上げる。それがショックだったみたで陽奈が落ち込む。
「ご、ごめん陽奈。ちょっと考え事していたら気が付かなくて……」
「またあいつのこと?」
 陽奈が大地の方を向いて言う。少し照れくさくて俯く。陽奈はそれが答えだとわかるとむっとする。
「また、そんなむっとした顔する。折角の可愛い顔が台無しになるよ」
 陽奈は大地のことがあまり好きではないみたいだ。なんでも最近、勝手に部屋に上がられたとかなんとか。私的には陽奈が大地の魅力に気づいて惚れられると、三角関係になるから。割と今のままでいいと思っている。それになにかと言って陽奈は相談に乗ってくれるし。
「で、同居中にでもなにかあったの? 裸を見られて怒って喧嘩したとか?」
 陽奈には同居していることを話している。流石に大親友の陽奈には秘密なんてできないからね。
「いや、それは住み始めた頃に何度かあったけど。今は違う問題なの」
「何度か!? ……まあいいわ。そんなことを問いただしていたらきりがないから。で、その違う問題とは?」
 なにか失礼なことを言われた気がするけどスルーして大地の方に指をさす。
「どうしたの? あの変態。いつもよりもキモイじゃない」
 大地は教室の窓から荒れそうな天候を見ている。一見、天気を気にしているようにも見えるが、親しき仲の人が見れば何かを悩んでいることは一目で分かる。
「昨日の夜からあんな感じなの……。ご飯も食べずにずっと部屋に籠っていたんだよ」
「よくそんな状態の奴が学校に来られたね」
「私も今日は学校休むと思っていたけど、朝になったら急に真剣な顔で俺が守るとか言って来てさ」
 本当にうれしかったから陽奈に惚気てみる。でも、あの時大地が手に持っていた紙が気になっていたりする。
「はいはい、朝からお熱いことですこと。これぐらい本人の前でもあんたが素直だったらよかったのにね!」
 むむー、それは言わないお約束なのに……。仕方ないよ、素直に気持ちを伝えるのにどれだけ勇気が必要なんてわからないよね。
「って、変態どうしたの? 昨日も凜にちょっかい出してないでしょうね?」
 気が付けば大地が私たちの近くに来ていた。顔を見ると妙に真剣な表情をしている
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