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SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
08:攻略会議とデュエル
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緊迫した空気が場を包む。現在、第五十四層ボス攻略会議が行われている。聖竜連合、血盟騎士団などの有力ギルドの他、実力の高いソロプレイヤーや小規模ギルドも出席している。

今回、長い期間参加していなかった僕もこの会議に出席している。攻略組時代の僕を知っているプレイヤー達からは、「アイツがいて戦闘を乱さねぇのかよ」や「帰って来なくてよかったな」などのヤジが飛ぶ。

はっきり言ってもう慣れている為か、別に怒りが沸いてくる訳でもない。ただ、他人を見下し罵倒する事で優越感に浸るような輩は哀れにしか見えないとは思っておこう。

「ボスの名前は《ヴォジャノーイ》。先遣隊の話によると、見た目は水妖精のようらしいです」

淡々とボスの情報を告げるのは、栗色の髪をした少女――血盟騎士団副団長、《閃光》のアスナ。実力は当然高いとして、驚くべきはその剣技だ。他とは違う程のスピードを持っている。異次元と言っても良いだろう。速すぎて剣先が見えないのだ。

「問題は、浮遊している事。それと、水の中にある核とおぼしき者以外はダメージが通りにくい事です。それも、修復速度が異様に速いそうです」

「じゃあ、核に辿り着く為には全員で高速の攻撃を叩き込む必要があるって事かな?」

僕はアスナに問う。アスナはそれに「ええ、そうです」とだけ言うと説明を続ける。そこで軽く思考を巡らせるが、別段策は見付からない。

「そこで、ボスの体に穴を開ける役割も決めたいと思うのですが、それはこちらから指名します。先ず、私、そして、ソロのキリト君、最後に同じくソロの―――」

そこで間を開けるアスナ。キリトやアスナと同等以上に剣技の速い者など、この場にいない筈だ。それならいったい誰が―――

「―――ハリン君」

「は、はぁ!?」

呆気に取られて僕はつい疑問の叫びを上げる。周辺のプレイヤーに睨まれるので、なるべく居心地が悪そうな態度を見せて目をそらす。

「大人数では集中攻撃の際却って邪魔になりますので、この三人でいこうと思います。異論は――」

「―――待ってください、俺は反対です」

はっと顔を上げる。攻略組時代嫌と言う程聞いた声。視線の先には、聖竜連合幹部《ミハイル》なる名のプレイヤー。短く切り揃えた髪、瞳からは何処か睨み付けるように見える。

「キリトやアスナさんまでは問題ないが、そこのハリンとやらを入れるのは何故だ?奴は昔攻略組を壊滅に追い込んだ悪魔だ。今回反省して姿を見せたのかは知らないが、また作戦を乱す可能性が高い。第一、刀では手数に劣るだろう」

昔からこうだ、この男は。最初の出会いから何かと僕を目の敵にしては、会議中に何かとつっかかってくる。そんなに構ってほしいのかと呆れてしまっているのは内緒だが。


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