プロローグ
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に転けて頭をぶつけ、この病院に運ばれてくる途中まで。
……何言ってるのかわからないだろう?そりゃそうだ。俺も今の状況をよく理解出来ていないのだから。
とりあえず、ありのまま起こったこと、感じたことをまとめてみよう。
まず俺……否、『私』は自転車で事故を起こした。と言っても、私が勝手に転けただけだが。この時はまだ、私はどこにでもいる女の子だったし、一人称も『私』だった。そこからは記憶がはっきりしていないのだが、恐らく事故現場から病院に運ばれてくる時に乗っていた救急車の中だろうか、私の頭の中に知らない、大学生ぐらいの男の記憶が流れ込んできたのだ。
……いや、これは「思い出した」と言うべきだろうか。他人の記憶にしては妙にはっきりしているし、この記憶の男が感じたのであろう痛みや思いが、まるで自分のことのように感じられる。
そして何より、今私の一人称が
『俺』だということ。
別に意識して変えたわけではない。今は『私』よりも『俺』の方がしっくりくると感じるのだ。恐らく、記憶だけでなく、人格まで変わってしまっているのだろう。
病院で最初に覚醒した時は、今までの記憶と「思い出した記憶」とがごっちゃになって、わけのわからんことを呟いていたせいで、そばにいた看護婦さんや、俺の事故を聞いて飛んできた母に大いに心配をかけたけど、今はかなり冷静を保っている。
俺が思い出した記憶は、道路へ飛び出して軽トラに引かれたところで途切れている。よくは覚えていないが、大量に出血していたのは間違いないので、まず死んだだろう。
だが、俺はこうして自分の存在を感じることができる。少女の姿でだが。
…… 色々考えた結果、俺は1つの結論へと至った。
??????到底信じられることではないが、これは所謂、「前世」の記憶なのだと。
俺はふとカレンダーを見ると、2022年の5月のページになっていた。確か今日は、8日だっただろうか。俺が前世で交通事故にあったのは、2005年の8月あたりだ。今の女の子の俺は13歳で、生まれたのは2008年の9月14日。つまり、前世の男だった俺が死んで3年後、今の俺が生まれたということになる。
物心着いた時から何か引っかかっていた気がしていたのだが、恐らくこの記憶が原因だろうな……。
そこまで考えた時、不意に病室の外から声が聞こえた。
「美雪?入るわよ」
どうやら母が俺のお見舞いに来たようだ。思わず「ああ、いいぞ。」と男みたいな口調で返事をしそうになったが、どうにか踏みとどまった。ここは慎重に言葉を選ぶ。
「あ、どうぞ!」
今まで正真正銘の女の子だったのだ。もし俺が自分のことを「俺」とか言ったり、
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