第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
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移動した先の一階も、修羅場だった。
いきなり玄関から現れた傭兵の一隊が、一階の酒場で飲んでいたワルド達を襲ったらしい。
ギーシュ、キュルケ、タバサにワルドが魔法で応戦しているが、多勢に無勢、どうやらラ・ロシェール中の傭兵が束になってかかってきているらしく、手に負えないようだ。
キュルケたちは床と一体化したテーブルの足を折り、それを立てて盾にして、傭兵たちに応戦していた。
歴戦の傭兵たちは、メイジとの戦いに慣れていて、緒戦でキュルケたちの魔法の射程を見極めると、まず、魔法の射程外から矢を射かけてきた。
暗闇を背にした傭兵たちに、地の利があり、屋内の一行は分が悪い。
魔法を唱えようと立ち上がろうものなら、矢が雨のように飛んでくる。
ウルキオラはテーブルを盾にしたキュルケ達の下に、姿勢を低くして移動し、上にフーケがいることを伝えた。
フーケのゴーレムはウルキオラの鎖条鎖縛で封じられているため、今の所害はない。
他の貴族の客たちは、カウンターの下で震えている。
でっぷりと太った店の主人が必死になって傭兵たちに「わしの店がなにをした!」と訴えかけていたが、矢を腕にくらって床をのたうち回った。
「状況は?」
ウルキオラの言葉にワルドは答える。
「参ったね…あのフーケがいるとなると、アルビオン貴族が後ろにいるということだな」
キュルケが杖をいじりながら呟いた。
「……やつらはちびちびとこちらに魔法を使わせて、精神力が切れたところを見計らい、一斉に攻撃してくるわよ」
ワルドは何かを決心したかのように言った。
「いいか諸君」
ワルドは低い声で言った。
ウルキオラたちは、黙ってワルドに耳を傾けた。
「このような任務は、半数が目的地に着けば成功とされる」
「無論だ」
ウルキオラは短く肯定の意を添えた。
こんな時でも優雅に本を広げていたタバサが本を閉じて、ワルドの方を向いた。
自分とキュルケとギーシュを指して「囮」と呟いた。
それからタバサは、ワルドとルイズとウルキオラを指して「桟橋へ」と呟いた。
「時間は?」
ワルドはタバサに尋ねた。
「今すぐ」
タバサは呟いた。
「聞いての通りだ。裏口へ回るぞ…ウルキオラ君」
ワルドはウルキオラに呟いた。
「なんだ?」
「君の力で少しだけ相手を封じることが出来るか?」
ワルドがそういうと、ウルキオラは立ち上がり、人差し指を傭兵たちに向けた。
その間、ウルキオラに向かって何本もの矢が飛んできたが、ウルキオラの体に当たると同時に小枝のようにポキポキと折れていった。
「なっ!矢が効かないだと!」
傭兵たちは驚きを隠れない。
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