第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
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た。
「虚圏のことを思い出していただけだ」
ルイズは俯いた。
「……悪いとは、思ってるわよ」
「情けをかけられる気はない」
「な、なによ!謝ってあげたのに!」
「それに…」
ウルキオラはそこで言葉を切った。
「なによ」
「嫌々お前の使い魔をしているわけではない。俺がやりたいからしているだけだ」
ウルキオラの言葉にルイズは驚いた顔をした。
「そ、そう」
ルイズの顔は真っ赤に染まっていた。
ルイズは俯いた顔をあげ、月を見ようとした。
「な、なに!」
月を眺めようとしたが、月が巨大な何かに隠れて見えない。
月明かりをバックに、巨大な影の輪郭が動いた。
目を凝らしてよく見ると、その巨大な影は、岩でできたゴーレムだった。
こんな巨大なゴーレムを操れるのは……。
巨大ゴーレムの肩に、誰かが座っている。
その人物は長い髪を、風にたなびかせていた。
「フーケ!」
ルイズは怒鳴った。
肩に座った人物が、嬉しそうな声で言った。
「感激だわ。覚えていてくれたのね」
「あんた!牢屋に入ってたんじゃ……」
ルイズは杖を握りながら言った。
「親切な人がいてね。私みたいな美女はもっと世の中のために役に立たなくてはいけないと言って、出してくれたのよ」
フーケは嘯いた。
暗くてよく見えないが、フーケの隣に黒マントを着た貴族が立っている。
あいつがフーケを脱獄させたんだろうか?
その貴族は喋るのはフーケに任せ、黙りを決め込んでいる。
白い仮面を被っているので、顔はわからないが、男のようだった。
「……お節介な奴がいたものだ。で、何の用だ?」
ウルキオラは表情を変えずに言った。
「素敵なバカンスをありがとうって、お礼を言いに来たんじゃないの!」
フーケの目が吊りあがり、狂的な笑みが浮かんだ。
フーケの巨大ゴーレムの拳がうなり、ベランダの手すりを粉々に破壊した。
硬い岩でできた手すりである。
岩で出来たゴーレムの破壊力は、以前より強くなっているようだった。
「ここらは岩しかないからね。土がないからって、安心しちゃダメよ!」
「安心も何も、警戒する必要がない」
ルイズの驚きを気にもとめず、ウルキオラは拳を広げ、ゴーレムの方へ向けた。
「縛道の63 鎖条鎖縛」
そう言って、拳を握ると、黄色い光を放つ鎖が、ゴーレムに巻きつき、動きを封じた。
「な、なんだい!これは!」
ゴーレムはガチャガチャと動くが、鎖条鎖縛が解除されることはなかった。
その隙に、ウルキオラはルイズを抱えて消えた。
響転で一階へと移動した。
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