第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
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る。
ワルドは当たらないと察したのか、後ろに後退し、魔法を放った。
杖で攻撃している際に、詠唱を完成させたようだ。
ボンッ!と空気がはねた。
見えない巨大な空気のハンマーが、横殴りにウルキオラを襲った。
しかし、ウルキオラはそれを左手一本で受け止めた。
「な、なに!?」
魔法は完璧に捉えたはずだった。
普通なら10メイルほど吹き飛ぶはずなのだ。
それを片手で受け止められれば驚くのも無理はない。
「終わりか?」
ワルドはハッとした様子でウルキオラを見つめた。
「確かに、ギーシュよりはやるようだが…所詮は人間…この程度が限界か…」
ウルキオラは左手の人差し指をワルドの前に突き出した。
「縛道の61 六杖光牢」
ウルキオラの人差し指から黄色い光が放たれる。
ワルドの腹の辺りに、6つの長方形の光が刺さる。
「くっ!なんだ!これは!」
ワルドはウルキオラのいた方向を見たが既にそこにウルキオラの姿はなかった。
「なっ!いったいどこへ…」
「ここだ」
ワルドは右側から声がしたので振り返る。
すると、そこには斬魂刀の鋒を自分の首の前で止めているウルキオラの姿があった。
「勝負あり、だ」
ワルドはその場から引こうとしたが、腹に刺さった6つの光の板が邪魔して動けない。
「参った…」
ワルドはしんみりしたこえで負けを認めた。
すると、ワルドの動きを封じていた6つの光の板が四散した。
ウルキオラは、斬魂刀を鞘に戻した。
そして、そのままワルドに背を向け歩き出した。
ルイズはウルキオラの横を通り過ぎ、ワルドに駆け寄る。
「ワルド!」
ワルドはウルキオラの背中を見ながら、小さく呟いた。
「少し…計画を変更する必要がありそうだ」
そしてその夜……。
ウルキオラは一人、部屋のベランダで月を眺めながら、紅茶を飲んでいた。
ギーシュたちは、一階の酒場で酒を飲んで騒ぎまくっている。
明日はいよいよアルビオンに渡る日だということで、大いに盛り上がっているらしい。
キュルケが誘いに来たが、ウルキオラは断った。
ウルキオラは夜空を見上げた。
瞬く星の海の中、赤い月が白い月の後ろに隠れ、一つだけになった月が青白く輝いている。
その月は、ウルキオラに故郷を思い出させた。
虚圏の月。
あの男と戦い、消えた場所。
そんなふうに、月を見ていると、後ろから声がかけられた。
「ウルキオラ」
振り向くと、ルイズが立って、腕を組んでウルキオラを睨んでいる。
「なにしてんのよ。こんなとこで」
ウルキオラは再び月に目線を移し
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