第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
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』の事を話したんだ?オスマンしか知らないはずであった。
「僕は歴史と、兵に興味があってね。フーケを尋問したときに、君に興味を抱き、王立図書館で君のことを調べたのさ。その結果、『イーヴァルディー』にたどり着いた」
なるほど…と思った。
「あの『土くれ』を捕まえた腕がどのぐらいのものだか、知りたいんだ。ちょっと手合わせ願いたい」
「どういう意味だ」
「つまり、これさ」
ワルドは腰に差した魔法の杖を引き抜いた。
「決闘か?」
「その通り」
ウルキオラは表情を変えずにワルドを見つめた。
「いいだろう。どこでやる?」
「この宿は昔、アルビオンからの侵攻に備えるための砦だったんだよ。中庭に練兵場があるんだ」
ウルキオラとワルドはかつて貴族たちが集まり、陛下の閲兵を受けたという練兵場で、20歩ほど離れて向かい合った。
練兵場は、今ではただの物置場となっている。
樽や空き箱が積まれ、かつての栄華を懐かしむかのように、石でできた旅立て台が、苔むして佇んでいる。
「昔……、と言っても君には分からんだろうが、かのフィリップ3世の治下には、ここでよく貴族が決闘したものさ」
ウルキオラはポケットに手を突っ込んだまま聞いている。
「古き良き時代、王がまだ力を持ち、貴族たちがそれに従った時代……、貴族が貴族らしかった時代……、名誉と誇りをかけて僕たち貴族は魔法を唱えあった。でも、実際はくだらないことで杖を抜きあったものさ。そう、例えば女を取り合ったりね」
ワルドは物陰の方を見つめた。
「どうした?」
「立会いには、それなりの作法というものがある。介添人がいなくてはね…安心したまえ、もう呼んである」
ワルドがそう言うと、物陰からルイズが現れた。
ルイズは2人を見ると、ハッとした顔になった。
「ワルド、来いって言うから、来てみれば、何をする気なの?」
「彼の実力を、ちょっと試したくなってね」
「もう、そんなバカなことはやめて。今日はそんなことしている時じゃないでしょう?」
「そうだね。でも、貴族という奴は厄介でね。強いか弱いか、それが気になるともう、どうにもならなくなるのさ」
ルイズはウルキオラを見た。
「やめなさい。これは、命令よ?」
ウルキオラは答えない。
ただ、ワルドを見つめた。
「なんなのよ!もう!」
ルイズはたいそうお怒りである。
「介添人も来た。こい、ワルド」
ワルドは腰から、杖を引き抜いた。
ウルキオラは未だにポケットに手を突っ込んだまま動かない。
ワルドはフェイシングのように、ウルキオラに杖を突き出し攻撃する。
ウルキオラはそれを難なくかわしてい
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