第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ないのだ。
酒場の椅子に座りながら、ウルキオラは『鬼道全集』を読んでいた。
イーヴァルディーのルーンのおかげもあり、すでに90番台も問題なく使えるのだが、他に読む本もないので、仕方なくよんでいる。
そんなふうにしていると、デルフリンガーはボソッと呟いた。
「なあ、相棒」
「なんだ?」
ウルキオラは本から目線を変えずに、答えた。
「相棒はいったいなんなんだい?」
「どういう意味だ」
デルフリンガーの問いの意味がわからず、聞き返した。
「相棒は人間じゃねーんだろ?」
「ああ」
「やっぱり亜人なのかい?」
ウルキオラはデルフリンガーに視線を移した。
「虚だ」
デルフリンガーは聞きなれない言葉にカチャカチャと疑念を表した。
「その虚ってのは、いったいなんなんだ?」
「……虚は、死した人間の……」
ウルキオラがデルフリンガーに自らの種族の説明をしようとしたが、後ろからの衝撃で口を閉じた。
「こんなところでなにしてるの?本を読むのがお好きなの?もう、探したのよ。あたし」
衝撃の正体はキュルケであった。
キュルケは、後ろからウルキオラを抱きしめている。
「離れろ」
ウルキオラは怠そうに答えた。
「なんで?いいじゃない。ところでなにを見てるの?」
キュルケはウルキオラの持っている本を覗き込んだ。
「なに…これ?読めないんだけど…」
ウルキオラはページをめくりながら答えた。
「俺の世界の文字だ」
「あなたの世界?」
キュルケは首を横に傾けながら言った。
「そうだ」
「へー、あなたの世界ではこんな字を使っているのね…」
キュルケは興味津々だった。
「早く寝ろ。起きられなくなるぞ」
「もう!冷たいのね…わかったわ。今日はもう寝るわ」
キュルケはウルキオラから体を引き離し、部屋に戻っていった。
翌日、ウルキオラは酒場で紅茶を飲んでいた。
すると、上からワルドが降りてきた。
「おはよう。ウルキオラ君」
「どうした?随分早い起床だな?」
ウルキオラがそう言うと、ワルドはにっこりと笑った。
「君は伝説の使い魔『イーヴァルディー』なんだろう?」
「…そうらしいな」
ウルキオラは怪訝な顔でワルドを見ている。
ワルドは、なぜか誤魔化すように、首を傾げて言った。
「……その、あれだ。フーケの一件で、僕は君に興味を抱いたのだ。先ほどグリフォンの上で、ルイズに聞いたが、君は異世界からやってきたそうじゃないか。おまけに伝説の使い魔『イーヴァルディー』だそうだね」
「ああ」
誰が『イーヴァルディー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ