第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
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は相変わらず無表情だ。
「ああ、霊圧を消費しない限り、食事も睡眠もいらん」
全員がギョッとした。
それは、ウルキオラが本当に人間じゃないことを示していたからだ。
ワルドは驚きながらも、ウルキオラに問いかけた。
「霊力とはなんだい?君の力のことか?」
「ああ、魔力のようなものだ」
「そうか…」
暫し沈黙が流れる。
その間、ルイズは先程のワルドの言葉を思い出した。
「ワルド、同室なんてダメよ!」
急にルイズが大声で叫んだため、全員がルイズに視線を移した。
「どうしてだい?婚約者同士なんだから当然だろ?」
「でも、私たちまだ結婚したわけじゃないじゃない!」
ワルドは首を振った。
そして、ウルキオラに言った。
「君はどう思う?ウルキオラ君」
ウルキオラは何を聞いているんだこいつは?と思った。
「知ったことか。好きにしろ」
全く関心のないウルキオラにルイズは少しがっかりする。
「君の使い魔もこう言っている。それに、大事な話があるんだ。2人っきりで話したい」
ルイズは少し悩んだが、暫くして首を縦に振った。
貴族相手の宿、『女神の杵』亭で1番上等な部屋だけあって、ワルドとルイズの部屋は、かなり立派な作りであった。
誰の趣味なのか、ベッドは天蓋付きの大きなものだったし、高そうなレースの飾りが付いていた。
テーブルに座ると、ワルドはワインの栓を抜いて、杯についだ。
それを一気に飲み干す。
「君も腰掛けて、一杯やらないか?ルイズ」
ルイズは言われたままに、テーブルについた。
ワルドがルイズの杯に、ワインを満たしていく。
自分の杯にもついで、ワルドはそれを掲げた。
「2人に」
ルイズはちょっと俯いて、杯をあわせた。
かちん、と陶器のグラスが触れ合った。
「姫殿下から預かった手紙は、きちんと持っているかい?」
ルイズはポケットの上から、アンリエッタから預かった封筒を押さえた。
いったい、どんな内容だろう?
そして、ウェールズから返して欲しいという手紙の内容はなんなのだろう?
なんとなく、それは予想がつく気がした。
アンリエッタとは、幼い頃、共に過ごした仲である。
彼女がどうゆう時に……、あんな表情ーー最後の一文を書き添える時に見せた表情をするのか、ルイズにはよくわかっていた。
考え事をしている自分を、興味深そうにワルドが覗き込んでいる。
ルイズは頷いた。
「……ええ」
「心配なのかい?無事にアルビオンのウェールズ皇太子から、姫殿下の手紙を取り戻せるか」
「そうね。心配だわ」
ルイズは可愛らしい眉を、への字
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