暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
44.始まりの真実
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程度で外を歩いている人間がいてもおかしくはない時刻なのにだ。
そのはずが全くというほど人とすれ違わない。辺りにも全く気配を感じない。
この光景に柚木と美鈴の言葉を思い出しさらなる違和感を感じる。
あの二人は何かを知っているのであろうか?
そうでなければこの違和感を事前に彩斗や唯に知らせることなどできないはずだ。
これはただの彩斗の憶測にすぎない。ただただ友人を、家族を心配する彼女たちの優しさなのかもしれない。
その時だった。爆発音にも似た衝撃が大気を劈いた。
あまりに唐突なことで彩斗の身体は吹き飛ばされそうになる。
「な、なんだ……?」
恐る恐る爆発音がした方へと視線を向ける。
「───ッ!」
あまりの衝撃に言葉を失う。
この時、人間というのはとてつもなく無力な生き物だと改めて思い知らされることになった。人間は知らないものに遭遇した時に好奇心と恐怖心の二つの感情がまず最初に現れる。好奇心などただ自分の恐怖を紛らわすための感情でしかない。
本当に訳のわからないものに遭遇した時、人間は恐怖心という感情しか姿を現さないのだ。
まさに今がその状況だった。
彩斗の視界は未知なるものを捉えていた。
黄金の一角が額の中央に生え、艶やかで綺麗な毛並みを持つ馬。いや、馬ではなく伝説上の生物である
一角獣
(
ユニコーン
)
だ。
ただ
一角獣
(
ユニコーン
)
という未知の生物がいるだけでも理解できないというのにその大きさは三メートルはゆうに超えている。
「なんだよ……あれ?」
身体が震えている。肌を刺す不可思議な感覚に立っているのもやっとだった。
爆発音が、再び彩斗の鼓膜を震わせた。向こうの方でなにかが激しくぶつかり合っている。あの
一角獣
(
ユニコーン
)
はなにかと戦っているようだ。
あれほどの化け物の相手をしているのだ。戦っている相手も人間であるわけがない。
そんな戦いに巻き決まれれば、彩斗の無傷では絶対にすまない。最悪死に至るだろう。
だから逃げなくてはならないはずだった。
それなのにあの化け物たちがぶつかり合って場所へと向かおうとする彩斗ではない彩斗が心のどこかにいた。
「……ケンジュウ?」
不意に口からそんな言葉が漏れた。
彩斗はそんな言葉は知らない。だが、知っていた。まるで自分ではない誰かがそれを教えてくれたかのようにだ。
そいつこそが彩斗を危険地帯へと向かわせおうとしている張本人なのかもしれない。
しかしそいつも彩斗の一部なのだろうか。
いつの間にか彩斗はそちらの方へと走り出していた。そちらは危険だ。わかっていても足はその動きを止めようとしない。まるで自分の足ではなくなったかのように言うことを聞かない。
「クッソ! なんなんだ
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