≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
閉ざされた世界の英雄
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ええ、貴方が思っている通り、私とディアベルはベータテスターと新規との確執を取り除こうとしていたわ。ディアベルもまた私と同じベータテスターで、昔のアインクラッドでの最初期のフレンドよ。後半期にはディアベルは忙しくて私だけ先行してたんだけどね」
「……ディアベルはカタナスキルのことを知らなかったから、ベータテスターじゃないと思ったんだけどな。そうか、純粋に知らなかったんだな」
――となると、思ったよりも、業が深いぞ。
ふと脳裏に湧き出た文句はすぐに彼女の声に掻き消された。
「今回の攻略でディアベルが生き残っていたら、ベータテスターであることを公言する予定だったのよ。ベーター断罪の騒動を、一層攻略でケリをつけるつもりだったんだけど」
落胆気味に語るインディゴは溜息をついて肩を竦ませる。ディアベルとインディゴの目的は≪元ベータの救済≫、となるとラストヒット妨害の狙いは――。
「キリトのラストヒットを妨げようとしたのはそのためか? 火のないところに煙は立たない、火の元はキリトだろうってか?」
「別に今回の騒動をキリトくんのせいにしているわけじゃないわ。ベータでのキリトくんは悪名高かったのよ? ボスのラストヒットを全部掻っ攫ってたから。フロアボス攻略で何かしらヒューマンエラーがあるならそこからだろうって結論に至って、念のために手を打っていたのよ。……それも、無駄だったけど」
ボス戦の最後の最後で、キリトはベータテスターとして誰よりも困難な道を選んだ。新規らは彼を悪のビーターとして怨まれ、ベータテスターからは隠れ蓑として利用されながら関わっていくことだろう。インディゴ達の懸念は、まったくの的外れとなったのだ。キリトは罪を背負って、闘い続ける。
「ディアベルが死んだのは私のせいだわ」
懺悔のような悲痛さのこもった、少女の重い言葉が架空の世界に沈んだ。隣の彼女は、深く深く項垂れながら、言葉を続ける。
「私は、カタナスキルを知っていたけど教えなかった。教えていれば、ディアベルは少なくともあのイルファングでの攻撃では死ななかったはずだわ。……なんで言わなかったんでしょうね。あの時は言う必要がなかったとはいえ言える機会はあったのに……お互いベータテスターとして判りあっていたのに。結局、私もディアベルには何も教えなかった。私も根っこの方では仲間にさえ情報を出し渋っている……。悔やんでも、悔やんでも悔やんでも悔やんでも! ――悔やみ、きれない……」
「……」
ディアベルがラストヒットに固執したことが原因だから君が責められることはない、そんな言葉を思い浮かぶが、すぐに下げる。彼女に必要な言葉は責任逃れの言葉じゃない。それは当人にもきっと気付いているはずだ。
「君に罪はない、だけど後悔と自責がある。だから君は
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