≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
閉ざされた世界の英雄
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るときに六度クエストしたって言っただろ? そこまでやりこむプレイヤーが、まさかアニールブレードを持っているもんか、って思ったんだよな。アニールブレードがアルゴの攻略本で出てきたころには、もうあのクエストの難易度はかなり上がっていて競争相手もかなり多くなっていたからね。今では八レベル程度で数日籠らないと自力での入手は難しいそうだ。喰い違ったんだよ、プレイヤー像が。あの段階で、アニールブレードを持っているプレイヤーは基本、情報屋から情報を買ったプレイヤー。けれどあのカイトシールドについては情報屋は知らなかった。アルゴからは武器とクエストの情報はすべて買っているから断言できる。つまり、カイトシールドはやりこみプレイヤーにしか気付けないことなんだよ。ここで違和感が一つあった」
「……でも、それじゃあ断言できないでしょう? 偶然だっていうことも、買ったていう線だって、十分有り得るわ」
「そうだね、あくまでこれは怪しかった点だ。有り得なくもないが、少々考えづらいってぐらいの点だ」
「……他にも?」
「ああ、一つ言うならレベルもか。レベル十三、ちょっと高すぎたな。キリトはビーターだから分かるとして、君のレベルは不思議だった」
「――それも、そうかもね」
「あとボスの扉を発見した時のこともだ。――思えば、あれは君があそこまで誘導したんだよな? 歓声が聞こえる範囲まで。これも偶然で済ませられるけど、君が大体の扉の位置を知っていたから、というほうがしっくりくる。あの後、ディアベルと一緒にボス部屋に突入したのもボスの力量を知っていたからだろ?」
迷宮区慣れしていない俺は、インディゴに先導される形で≪攻略≫をしていた。進路を決めたのはインディゴで、たまに俺が進行の方角を決めようとすると『そこは探索済みだから』とか『トラップがあるから』といってやんわりと断られていた。あれはディアベル達が扉を開けるのを待っていたのだろう。
「…………そうよ。……貴方の、言う通りだわ」
肯定の言葉を述べる彼女の表情はとても辛そうだ。今にも胸が限界まで縮んでいって倒れてしまいそうな顔色だった。その理由を、俺は知っている。それが≪ビーター≫だからではないことも。
――救ってやることはできないけれど、俺の選択は最善ではないかもしれないけど。俺は言わなければならない。
「でも、そうじゃない。いや、あの時に君が俺に打ち明けようとしていたことは、そこまでだったんだろうな。だが、君の秘密はこれだけじゃない」
「……」
「君はディアベルと関わっていた。恐らくは――何かしらの協力関係にあったんだろ?」
彼女は観念したように、一度だけ大きく肯いた。俺は言葉を続ける。
「ボス扉の前で、君は真っ先にディアベル達を見つけていたが――あれは≪索敵ス
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